第128話 局部清掃魔法ー魔法

 シャワートイレが壊れて、常時ノズルが出っぱなしになってしまいました。

 おまけに人が座るとノズルから水を少し出して自動洗浄する機能と合わさり、使う人がどっちをするつもりだろうと、座った瞬間にお尻を洗う装置と化しています。

 メーカーの修理人が来たのですが、生産終了済モデルなのでパーツもないとのこと。新品に変わるまでは、しばらく頻繁にお尻を洗われる生活が続きます。

 修理できないと聞いて、うちの奥様は大喜び。今のはちょっと古いなと思っていたので、新品に変わるのが嬉しいとのこと。


 さて、実はタイでは日本より圧倒的にシャワートイレが普及しています。

 ただし、日本人が知っているものではないのですが。

 ウォーターガンというのが一番近いですかね。要するに引き金を引くと水が噴射される、日本だと庭木の水やりとかに使うのに似たものがトイレについておりまして、それを手動で動かして自分のお尻を洗うのです。

 なお、日本でもAmazonでキットが売ってるので入手可能。最初に妻を日本に連れてくる前に部屋のトイレを改造しておいたのですが、最終的には使わなくなり、大家さんと相談の上で日本のシャワートイレを入れてもらいました。


 使わなくなった理由? うん、首都圏とはいえ日本の冬は寒いのですよ。構造的に水を温める機能などつけようがないので、毎度毎度冷水でお尻を洗うのは辛いと言われると、そりゃそうだよねと。

 なお、タイだとシャワートイレでお尻を洗い、紙で水分を吹いてごみ箱に捨てるのが正しいです。紙をトイレに流すのは詰まるからNG。


 実のところ、『異世界に行ったときに、描写はされてないけどこういうところ困るよね』という考察を書いておられる方の多くが取り上げているのがトイレネタ。

 現実でも、ちょっと海外旅行すると直面する問題ですからね……。

 というか現実の現代ですら、満足に清潔なトイレを使えているのは世界人口の半分程度という問題がWHOとユニセフから提起されています。


 現実の問題はともかく、困ったときは魔法で解決していいのが異世界ファンタジーのいい所(?)

 みんな簡単な魔法は使える、というようなマジックリッチな世界なら、みんなが用を足した後にお尻をきれいにする魔法を常識として覚えているのではないかな、なんて考えてみます。

 もちろん、転移してきたばかりの現実世界出身者は使えないわけで。



 恥を忍んで

「あの、トイレのあとはどうすれば……」

 と聞いてみたが、

「え、トゥートゥー魔法で良いでしょ」

 と返されてしまった。だから、魔法は使えないんだってば。

「使えないです……」

「えー、私自分以外にかけたことないんだけど」

 私たちが困っているところで、中年女性が割って入ってきた。

「おばちゃんがやったげようか? 子育てしたら、他人にトゥートゥー魔法かけるのは必須だからねぇ」



 現実に使えないかな、この魔法。

 うちの娘、最近おむつ替え中に逃げるのですよ。

 おしっこの時はともかく、うんちの後で綺麗にする前に逃げられると……

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