第122話 大地のはらわたーモンスター

 昨日は土用の丑の日でした。

 幸い頂き物のウナギがあったので、妻と2人で舌鼓。

 なお、古代ローマではウナギを背開きにして炭で焼き、ハチミツで甘みを付けた魚醬と香辛料を塗ってあぶって食べていたそうです。ほぼ同じですね。ごはんには乗せないでしょうけど。


 さて、そんな感じで二千年以上食べられてきたウナギですが、その発生に関してはかなり長い間謎でした。


 アリストテレスは『動物誌』で『ウナギは泥やしめった土の中に生ずる「大地のはらわた」と称するものから生ずる』としているそうです。

 書いている内容からすると、「大地のはらわた」を回収して中にウナギがいるのも確認している様子。「大地のはらわた」は海藻の多い海や川や沼の岸で生じやすいということですから、藻のたぐいが腐った泥のことかなと思われます。


 これを読んで、アリストテレスが適当なことを言ってたと思うのは大間違い。

 なにせ、紀元前4世紀に「イルカは魚じゃなくて哺乳類」って言ってたり、ニワトリの卵の殻を一部だけ破って、中でヒヨコが育っていく様子を観察したりしている人です。

 ウナギを解剖して、他の魚比較して卵巣の発達具合とかまで調べても、どこで卵を産んでるのかすら分からなかったから、この結論になってるわけですね。

 実際のところ、ウナギは川で目にする場所からは相当離れた海(ヨーロッパウナギなら大西洋のサルガッソー海、二ホンウナギならマリアナ海溝付近)まで行って産卵するので、川や近海で捕まえられるウナギを調べても産卵の兆候すらないのは当然なのです。


 なお日本だと、ウナギは山芋が水に入ると変化するんだと言われていたとか。


 現実世界だと違うと分かっているわけですが、創作世界だとそっちが事実でも良いわけで。

 つまりウナギに限らず、あらゆる生物がそこから生じる全ての生物の祖『大地のはらわた』が……

 うん、ウボ=サスラですね。クトゥルフ神話にそういうのがいるのです。

 被らないよう慎重に設定するか、あえてそのまま「ウボ=サスラの別名の一つが『大地のはらわた』なのかもしれないっすね」で流すか。

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