第118話 正義の柱ーガジェット

 フランス語でボワ・ド・ジュスティス、正義の柱という意味。

 実は、一般にギロチンと呼ばれる処刑器具の正式名称です。

 ギロチンという言葉は普及に一役買った人物の名前から取られているので、異世界だと若干使いにくいのですよね。


 なお、ギロチンによる斬首刑は、今では残酷な印象が強いかと思いますが当時は平等かつ慈悲のある処刑方法でした。

 そもそも、フランス革命前は、貴族は苦痛の少ない斬首刑、平民は絞首刑や車裂き、八つ裂きなどの苦痛の多い死刑方法だったのですね。つまり、同じ死刑でも身分によって残酷さに違いがあった。

 そこで革命後に、「みんな平等に、苦痛の少ない方法で統一しようよ」と提案したのがジョセフ・ギヨタン氏。

 議会もそれにのっかりますが、死刑執行人から「平民まで含めた全員分の死刑を死刑執行人がやるのは無理です」という意見書が出されたので「じゃあ、機械で」と開発されたのが『正義の柱』

 なお、装置の開発にギヨタン氏は関わっていません。そもそも最終的には死刑廃止に至る第一歩として死刑方法の統一を提案したギヨタン氏は、処刑装置が自分の名を取ったギロチンと呼ばれることに大変ご不満だったとか。


 せっかくなので、無理やり武器として使うよりはこうした経緯を踏まえた、

「最初は善意から出発しているのに、いつの間にか悪意の塊のような扱いを受けている道具」

として出してみたいなぁと思うところです。

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