第117話 異界からの音ーキャラクター
【我々はよく似ているのだよ】
握った宝石が複雑に震えると、そうした意志が伝わってくる。
(似てるか?)
そう思っただけで、彼に伝わったらしい。追加の説明のためにもうひと震え。
【我々はどちらも、特定波長の振動に自己の記憶と意識を載せて保存している。普段の私は、物質化まではしていないけどね】
『宇宙からの色』というラブクラフトの短編があります。
詳細はネタバレになってしまうので省くとして、私としては色が生きているという設定を斬新と感じたのですね。
色は特定波長の光=電磁波だと考えると、他の波も生きていて良いのではないか。
また、波はエネルギーであり、エネルギーと物質は相対性理論的に相互変換可能。
そんな感じで思考を広げた結果生み出されたキャラクターが、『異界からの音』です。
つまり、振動そのものが自意識をもち、生物としてふるまう世界からの来訪者です。
当時やってたTRPGのキャンペーンでヒロイン格として起用。
シナリオの都合と流石に扱いにくかったので、キャンペーン中ではこの世界にいる間は宝石の形に実体化させられている、という設定でした。
小説でなら、もう少し別の扱いが出来るかなーと思いつつ、振動であることを真に生かすには彼が登場するシーンでは特定のメロディが流れているべきかなと。そのメロディが彼自身であるわけですね。
そうなると、文章媒体である小説では彼を表現しきれていないとも言えるわけで……むぅ。
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