第113話 ニホニウムーガジェット

 ニホニウムとは113番元素の名前です。元素記号はNh。

 見れば分かるように『日本』由来の名前ですが、これが決まるまでには結構なドラマがあったのです。


 かつて、ニッポニウムという元素名がありました。1908年に日本人が発見した43番元素の名前として一度使わたのですが、43番元素が天然に無い事が分かって取り消されています。

 この時発見されていたのは実際には、周期表で一つ下の75番元素だったとか。

 43番元素は1936年に人工合成されてテクネチウムに、75番元素も1925年にドイツ人に発見されてレニウムと名付けられています。

 ということで、日本発の元素名は惜しい所で幻となってしまった状態だったわけで。

 さらには113番元素の命名権はロシア&アメリカグループと日本の理化学研究所が争っている状況だったので、命名権が得られるかどうかは、化学系ではかなりの注目トピックだったのです。

 無事ニホニウムに決まった時には皇太子殿下(今の天皇陛下)も参加された記念式典が開かれたぐらい。


 一度使われた名前は今無効でも使えないというルールによってニッポニウムは不可。

 ジャポニウムは有力候補だったそうです。なんで外したのかは不明。

 ジャパニウムだとマジンガーになので近い音を避けた? まさかね。


 科学雑誌ネイチャーでは天照大神由来でアマテラシウムとか、ゴジラ由来でゴジリウム、煙々羅由来でエネンライウムとかの予想が出ていたとか……。

 最後だけ謎だなぁ。なんで煙々羅なんだろう。妖怪マニアが紛れ込んでいたのか。


 いずれにせよ、超ウラン元素はそれほど長時間もたずに崩壊してしまうので、実用上の役にはほぼ立たないんですけどね。

 したがって、創作のネタとしてもちょっと使いにくい……

 むしろ、かつては使えた「現実では未発見の超金属」が実際にはあり得ないという事実が補強されていくわけですね。

 そういうわけで、SFとかの現実に近い世界で超金属を出したい場合は合金だとしておく方がおススメです。

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