第82話 水素爆鳴気ー技名

 水素、で一度切るのがコツ。

「水素ッ!!(両手で複雑な印をきる)

 爆鳴気!!!(決めポーズ)」

 って感じで……伝わらない?


 真面目な話をすると、水素爆鳴気は水素ガスと酸素ガスを2:1で混ぜたもの。学校の教科書にも載っていたりします。

 火をつけると急激に反応して、大きな音と共に水ができます。反応後のモル数が減るので、音の割には爆発としての威力はさほどでもなかったり。

 教科書に載ってる必殺技っぽい単語としては個人的に上位に属します。

 威力がないのも逆に化学部系学生がギャグで使うのに良さそう。


 そして、私は実は水素が爆発するのを体験した事があります。しかも、自分の手の中で。

 中学の授業で、塩酸にアルミを入れて出てきた水素を試験管に集める実験をしていたのです。下に塩酸入りの試験管、上に逆さにした空の試験管。2つの試験管の口を合わせて手で持っていたのですが、これが少しズレた瞬間。


 キュポン!


 って感じのちょっと間抜けな音がしました。

「何だ、今の?」

「水素が爆発したんじゃ?」

「でも、全然熱くも痛くもないぞ」

 同じ班の友人とそんな会話を交わしたあと、水素が溜まっているはずの上の試験管にマッチを近づけて確認したのですが何も起こらず。

 やっぱり水素が燃えてしまったんだろう、と結論しました。

 手はほんとに無事で、試験管も熱くなったりしていないので、キツネにつままれたような気分でしたが。

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