第39話
彦斎と小林は、10数名の他の兵士とともに、森の中に潜伏していた。
「近藤からの情報だと、正午丁度にここでリオンタリとアゲラータが落ちあう。」
「後1時間か・・・。」
リオンタリとアゲラータは、小林ら龍刀の敵国に当たる。
アゲラータはリオンタリに武器や資源を供給している国で、
これが、龍刀とリオンタリの戦争を長引かせている原因でもある。
アゲラータ製の武器は全て魔力を使用しており、通常の武器とは別物と考えた方がよく、ライフルの一発が戦車並みの威力を有する。
防御策がなかった初期の頃は、なすすべなく舞台が次々と壊滅させられていった。
だが神力の発現により、後退した戦線は再び押し戻すことができた。
だがこのままではジリ貧である。
持久戦に持ってかれたら、国力差を考えればこちらが負けるのは目に見えている。
短期決戦が国力差を埋める唯一の手段である。
戦争が始まってからもう1年半になる。
「小林よ、随分と落ち着いているが、初めてではないのか?」
「暦で言ったら、あなたよりも長いですよ私は・・・。」
「言ってくれるねえ、聞くが日本人が最も強かった時代はいつだと思う?」
「鎌倉でしょうか?」
「ほう、まあ俺もそう思う歴史的に見て俺から見てもあの時の武士はイカれている。」
「河上さんほどの人でもそう思うんですね。」
「一体お前は、俺をなんだと思ってるんだ?じゃあ一番血生臭かった時代はいつだと思う?」
「幕末ですか?」
「正解。」
「じゃあ俺からも聞きますが、日本人が一番屈辱を受けた時代はいつだと思います?」
河上はこの問いを聞くと、ふっと笑い、
「それを今から返しに行くんだろ?」
小林は河上の言葉を受け、ニヤリと笑う。
「そうですね!!」
二人は敵陣に向かい走った。
走り抜けた後には神風が吹いていた。
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