第21話
この世界で使われている武器は、基本的に小林が生前いた世界とほぼ同じだ。
アサルトライフル、拳銃、手榴弾、ナイフは基本で、戦車、戦闘機、空母も存在する。
その中でも日本刀が戦場でも主流の武器として使われているのは意外だった。
日本刀は、近距離戦闘であれば無類の強さを誇る最強の武器だが、
近接戦闘は一番最後の手段で、近代の戦争では中距離、遠距離戦闘でほとんど決着がつくため、次第に使われなくなっていった。
それでもこの世界で日本刀、いや龍刀と言った方がいいか、が使われるのは、
龍刀は、対人戦闘用の武器ではないからだ。
近接戦闘で使われることもあるがほとんどは、敵の戦車や艦隊の破壊に使われる。
龍刀の破壊力は凄まじく、一振りで戦車を真っ二つに切断し、巨大空母でも三振りもすれば沈めることができる。
もちろんそのためには、戦車や艦隊に近づく必要があるが・・・。
そんなことができるのには理由がある。
龍刀が他の武器と違うのは、貯めることができる魔力の量と練度にある。
アサルトライフルや、拳銃など普通の武器でもこの世界では魔力を込めることができる。その技術を初めて使ったのはスカイロスという国だ。
スカイロスの技術は、次第に世界中でも使われ始めた。龍刀はスカイロスト同盟を結んでいたため、比較的早くその技術を使えるようになった。
大抵の武器は溶かした鉄に魔石を混ぜ、型に流し込むことで作られるが、
龍刀は、鉄と魔石を混ぜ合わせた、玉鋼を作り、低温で熱しては叩きを繰り返し一つの塊、鋼を作る。その鋼を折り曲げてはたたきを繰り返し不純物を取り除いていく。その後に引き伸ばし刀身の形にしてまた叩いて形を整えていき、最後に焼き入れをし龍刀が出来上がる。
作り方は素材が違うだけで、日本刀を作り方はほぼ同じだ。
自然界の物質には不純物が含まれていて、不純物が含まれていると、壊れやすくなったり、物質本来の性能を引き出せない。
それを取り除くために濾過などの処理を行っている。魔石や、魔油も同様だ。
ただ、龍刀はその不純物を取り除く工程が他の武器よりも、徹底している。
龍刀を打つのは、1年2年やっただけではできない
実際に龍刀国以外で龍刀を作れた国は今のところ存在しない。
小林がいた世界では、剣は近代化の激流で、実戦とは程遠い場所に流されてしまったのかもしれないが、この世界では、特に龍刀という国では、最前線で猛威を振るっている。
だからこそ、斎藤一といった人間が必要とされる。
そして、その斎藤が所属している部隊は、陸軍の歩兵隊の中で最強と呼ばれている。「陸軍第9師団歩兵連隊」又の名を「新撰組」。
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