第20話
「小林さん、俺たちこんなのんびりしてていいんですかね?」
「のんびりって、毎日厳しい訓練してるのがのんびりか?」
「いや、今俺たち戦争中でしょう、訓練も重要だと思うんすけど・・・。」
「朝倉は、今すぐにでも戦場に出たいのか?。」
「それが国のためになるなら。」
朝倉は曇りのない目で真っ直ぐ言い切った。
確かに、朝倉の思っていることもわからなくはない、
ただでさえ物資、兵力不足の龍刀が、兵士の訓練に時間を割く余裕があるのか不安に思っているのだろう。
「朝倉、一騎当千って言葉知っているか?」
「一人で一千人の敵を相手できるぐらいの並外れたすごい人のことでしょう。」
「ああ、龍刀は確かに兵士の数の資源も圧倒的に足りないが、それを補えるほどの技術を持っている。稲川さんクラスの人間なんて、1師団にいるかいないかが普通だが、この国には各部隊にそのクラスの人間がいるらしい。」
「ええ、そうなんですか?」
「1万の軍勢を十人の少数精鋭で打ち崩す。バカみたいな計算だが、この国はそれを本気でやろうとしている。」
「そんなことできるんですか?」
「200機以上撃墜したエースパイロットがいるらしい。」
「200!?いやそれは流石に盛っているでしょう。」
「どうだろうな・・・。」
本当かどうかよくわからない表情で小林が言うが、そんな
小林自身も、生前は千人以上の敵兵と討っている、
一騎当千級の兵士だ。
石油を貯蔵している地域で油田というものがあるが、この世界にも似たような場所がある。
この世界では石油ではなく、魔力の元となる魔素を貯蔵している。
言ってみれば魔素版の油田、
龍刀は、資源不足を兵力の強化と魔田の確保で補っていた。
魔田は、未開の地もあれば、国が保有している場所もある。
国が保有している場所の方が比較的魔物に遭遇する確率も低く安全だと言われている。ここで、魔物に遭遇し死ぬのは相当運が悪い。死神に目をつけられたとしか言えない。
だが、小林たちは、残念なことにその死神に目をつけられたみたいだった。
新人調査部隊がストーンピットブルに遭遇するなどありえないと、たかを括っていた。
あの瞬間は完全に不意打ちに遭ったようなものであった。
どんな強者であっても、死角からの不意打ちは避けることが難しい。
結果、小林と稲川がいながら、生き残ったのは稲川、小林、朝倉の三人だけだった。
結果この国魔田を確保という名の占領をするのに1ヶ月を要した。
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