第22話
「ちょっと、何をするの!!」
あえてこちらも口調を崩して抗議してみるが、私の声を無視してサンク様は私の上に覆い被さった。
「サンク、落ち着いて!お願いだから」
「俺は落ちついている。だからご褒美をくれ」
「いやいやいやいや、おかしいでしょ!」
「おかしくない」
「絶対おかしいって!!だって、私たち付き合ってもないのに」
「でも結婚式は挙げただろ」
「それは…」
確かに結婚はしたが、あれは国民を安心させるための形式的のものだろう。
それに書面上ではサインをしていないから正確には結婚していない。
「とにかく、一旦冷静になって」
「無理」
「即答しないでよ」
「エリーが可愛すぎるのが悪い」
「理不尽にも程がある」
掛け合いこそ私たちのテンポで進むが、如何せん体勢がよろしくない。
それにいつもはこんな直接的なことは言わないのに、今日に限ってどうしてこんなにも積極的なのか。
「…私、婚前性交は嫌なの」
「じゃあ結婚しよう」
「……あーあ、サンクはこんなプロポーズでいいんだ」
不思議そうに首を傾げるサンク。
私がそんなことを言い出すなんて思っていなかったみたいだ。
その隙を狙って、サンクに押さえつけられている腕をゆっくり引き抜く。
「何が不満なんだ?」
「あのね、プロポーズはもっとロマンチックなものだと思うけど」
「十分だろう?」
「ベッドに押し倒されたプロポーズなんて嫌よ」
「……じゃあ改めて今から仕切り直せば問題ないか?」
体を起こしたサンクに腕を引かれて、私も体を起こす。
ベッドの上で2人で座っているなんて異様な光景だ。
でも、ここまで来たらこっちのものだ。
「ううん、そういうことじゃないの」
「どういうことだ?」
本当に分かっていない様子のサンクに思わず笑ってしまう。
「私は今の関係性でいいと思っているわ。幼馴染で、共に国を守る戦友。でも、もしサンクがこの先に進みたいのなら私だってやぶさかではない」
「じゃあ、」
「でも、ちゃんと手順を踏んでほしいの。私だって女王である以前に1人の女よ」
そう言うと、サンクは驚いたように何度も瞬きをした。
まるで、お前がそんなロマンティックな思考を持っているのか?と疑問を持っているような反応だ。
「…王族に生まれた時から普通の恋愛ができないことなんて分かっていたわ。でも、どうせならちゃんとプロポーズしてほしい。駄目かしら?」
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