第18話


「失礼します…って、模様替えしました?」

「えぇ、どうかしら」


数日後、戦況が良くなったこともあり報告を兼ねてウィルが城にやってきた。

相変わらず城には私以外誰もいない。

ウィルが言う通り、私の部屋の内装がガラリと変わっていた。

元々は物が多かったが、今は割とさっぱりしていた。


「いいと思いますよ。あ、これ頼まれていた粉砕機です」

「ありがとう」

「それで、例の死体はどうしたんですか?」


ウィルは首を傾げていた。

どうやらあの後、この部屋のカメラは切ったらしい。

まぁ、連れ去られても外にあるカメラで足取りを追うことができるから問題ないだろう。


「燃やしたわ」

「燃やした!?」

「だって埋めても掘り起こされたら大事件になるじゃない」

「え、じゃあまさか粉砕機を持ってくるよう頼んだのは……」

「骨を砕くのよ」

「ちょっと!?やってることやばいですって!!!」

「うるさいわね……」


ウィルが慌てている様子を横目に、紅茶を口にする。


「戦争が始まってからあまり寝ていないから大きい声を出さないでもらえる?頭に響いて仕方ないの」

「寝てください。寝て正常な思考に戻しましょうよ」

「私は十分正常よ」


カップをソーサーに置いて、ウィルに向き直る。


「それより、戦況はどんな感じなの?」

「今のところ優勢ですよ。城と軍の情報管理室に送り込んだ刺客が迎撃されたせいで、クレンル王国の計画が頓挫したらしいです。そのせいで戦場にいた兵士に指示が飛ばなくなったのであとは押し切るだけです」

「そう」

「負傷者も最小に抑え込めているかと」


やはり、前線で戦っている兵士は無傷ではいられない。

でも最小ならまだ安心できた。


「でも、油断はできないわね」

「はい。でもこの調子ならすぐに戦争が終わるかもしれませんね」

「……まぁ、今回の件はスパイたちにいい刺激になったのではないかしら」

「…どういう意味ですか?」

「そのままの意味よ」


ウィルが口を開いたその時、ちょうどインカムに通信が入った。

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