第14話
廊下から微かに布が擦れるような音がした。
屋根裏からも何かが擦れる音がする。
いよいよ本格的に近づいてきたようだ。
執務用の椅子に座り、相手が姿を現すまで待つ。
その時、大きな音を立てて扉と天井が壊された。
現れたフードを深く被った人たちは私を見て笑みを浮かべた。
「やはりここにいたか」
「…」
沈黙を貫いていると、相手から口を開いた。
相手の出方を見るために黙っていると、後ろからぞろぞろと人が入ってきた。
どうやら仲間は沢山いるらしい。
「お前にはこの国の情報を吐いてもらう」
「あら、それは無理なお願いね」
「大人しく従えば痛い目を見ずに済むぞ」
「あー、痛いのは嫌ね」
私のことを舐めてかかっているのか、侵入者たちは武器すら持たず笑っている。
「そんな足じゃ逃げることもできないだろう」
「あら、どうして私の足が不自由なことを知っているのかしら。私はずっと座っているのに」
わざと挑発するように言ってみると、案の定簡単に乗ってきた。
「どこから情報が漏れたのか教えてくださらない?」
「言うわけがなかろう」
リーダーらしき人がゆっくりと近づいてくる。
そして執務机の上に置いてある瓶や万年筆を叩き落とすと、片足を乗せて顔を使づけてきた。
「ごめんなさい、足を乗せないでいただけると幸いです」
その男は何かを言う前に口から血を噴き出した。
男の胴体を容赦なく貫いたのは私の仕込み杖だった。
抵抗される前にそれを男の体から引き抜く。
「これ、実は仕込み杖なの。あなたたちのような侵入者に対抗する道具として特注で作ってもらったのよ」
「貴様っ!」
次々と襲いかかってくる人たちはすぐに距離を詰めてくるが、それをドレスで見えないように隠し持っていた拳銃で撃ち殺していく。
「足が不自由な女王だから人を殺す度胸も技術もないと思ったのですか?」
煽るようにそう言えば、図星だったのか怒り狂いながら銃を構えて発砲してくる。
もちろん狙いがブレていて当たらない。
私に当たる代わりに部屋に飾ってあった瓶がどんどん割られていく。
「私ね、足が悪くなってから身を守るために射撃訓練を始めたの。最初は当たらないし、痺れるしで本当に辛かったわ」
再び撃とうとした男の腕を撃ち抜き、弾を詰め直す。
「だけど、無能な女王にはなりたくなかった。お父様とお母様が亡くなって、サンク様とクロンダルを建国してからも必死に努力したのよ」
弾倉を変えながら、次は頭を狙って撃つ。
しかし、結局は人数が多すぎる。
段々と軌道が読まれ、机や椅子を使って上手く避けられてしまう。
「これで終わりだ!!!」
一気に距離を詰めてきた男が私にナイフを振り下ろす。
でもそれが当たることはなかった。
「なん、だ、これ」
男はナイフを落として膝をついた。
震える両手を見つめ、何が起こっているか分からない様子だった。
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