第8話


射撃場へ着けば、事前に情報共有がされていたのか気づいた隊員が敬礼してくれる。


「そんなに気を使わないでください。こちらがお邪魔させていただいているのですから」


そう伝えれば皆は練習に戻ってくれた。

私も練習を始めようと思い、銃を構える。

そしていつも通り引き金を引いた。



しばらくすれば感覚も戻ってきたようで命中率も上がってくる。

無心で撃ち続ければ、あっという間に時間が過ぎていった。


「そろそろ帰ったほうがいいかしら」


時計を確認してみれば、もうすぐ日が暮れようとしていた。

今日はこれ以上続けると迷惑になってしまうだろう。

荷物をまとめて帰ろうとすれば、丁度迎えに来てくれていたらしい長に会った。


「本日はいかがでしたか」

「とても有意義でした」

「それは良かったです。また、いつでもいらしてください」

「えぇ、是非」


馬車に乗り込み、窓の外を見る。

少しずつ街灯に明かりがつき始めていて、家路につく人々の姿が見える。

この景色を守るためにも強くならなくてはいけないのだと改めて思う。

私は絶対に負けられない。



「おかえりなさいませ、女王様」

「ただいま」


出迎えてくれたメイドたちに着いて早々、入浴の準備をお願いする。

銃を扱ったことにより、硝煙の匂いがついてしまったからだ。

ちなみにサンク様は私に銃の心得があることは知らないし、これから教える気もない。


「支度が整いました」

「ありがとう、すぐに向かうわ」


城内に匂いを持ち込まないように馬車で待機していたため、支度が整ったことをメイドが馬車まで知らせに来てくれた。

そのまま早歩きで浴室へ向かい、人払いをしてから脱衣所で服を脱ぐ。

私は人に洗ってもらう感覚がどうしても苦手なため、入浴中は誰も浴室に入って来ないようお願いしていた。

体を洗い終わり湯船に浸かると、疲れが取れていく気がする。


「はぁ……」


気持ちよさに思わず声が出る。

しかし、この後もやることは山積みであるため、ゆっくりしている時間はない。

ざっと体を流してから浴槽を出る。

そして着替えを終え、サンク様に今日のことを報告するため執務室へと向かった。


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