正しい国の滅ぼし方

宮野 智羽

第1章

プロローグ


「お兄さん、ちょっといいですか?」


雨の降る暗い路地裏で1人の少女はある男に声をかけた。

豪華とまでは言えないが、所々に高級感を感じさせる服装をしている。

さらに少女は可愛らしい顔立ちをしており、綺麗な銀色の長い髪、透き通った青い瞳を持っている。


「どうしたんだい?」


男は優しそうな笑みを浮かべて返事をした。

男が足を止めたことに気を良くしたのか、少女も嬉しそうに微笑む。


「お願い事があるの」


手招きをして近づいてきた男性の耳元に口を寄せる。


「あのね、私が知った秘密を買い取ってくださらない?」


驚いた顔をして固まる男性に少女は優しく微笑んで言葉を続ける。

少女の声はとても甘く、まるで砂糖菓子のように溶けてしまいそうだ。

男性はゴクリと唾を飲み込み、なんとか声を出す。

だがその声には震えがあり、恐怖を隠しきれていない。

それでもなんとか言葉を紡ぐ。


「それはどういう意味だい?詳しく教えてくれない?」


少女はその問いを聞いて妖艶な笑みを見せる。

そしてゆっくりと口を開いた。

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