各話解説:21話から30話まで

第21話


飛竜襲撃前夜の「溜め」の回。魔物である飛竜の行動原理や、襲来に備えた人間側の動きなどを解説。戦闘シーンでは、オリバーが稽古の時は不発だったジャンプ斬りを見事に決めており、飛竜戦の伏線とした。



第22話


ついに飛竜襲撃。部分的に三人称視点を取り入れるなどして、緊張感を演出。幻術と攻撃魔法の連携で飛竜を翻弄していく。冒険者の武器が鉱石やモンスター素材で強化されるというのは、伝統的なRPGというよりは『モンスターハンター』あたりを意識したものである。



第23話


対飛竜戦の本番。名無しのモブも含めた総力で迎撃する。《障壁》を破る理屈などは苦し紛れの設定だが、結果としては上手く行ったのではなかろうか。この場にいる冒険者の中では最強格であるトムとジャックの合せ技である。ラストシーンは降ってきたようにスムーズに書けた。



第24話


ついに旧友と再会。冒頭の夢のシーンについては早期から思いついていたような記憶。全編にわたってトムは食事がらみのシーンが多く、俗っぽさと人間味を描写している。エルの凄さと、トムとの絆を描写した。オリバー達は種まきのために里帰りしており、季節が早春であるという情報を与える。



第25話


竜の血で剣が鍛えられるというのは、『ドラゴンズドグマ』でドラゴン系を倒すと装備品が強化されるというシステムからの連想。心臓の圧力や血液中の鉱物など、神秘だけでなく化学的な理屈も付けられたのは満足。そして理論家の本職ともいえるエレナが本格的に活躍し始める。神官長との師弟愛についてもお気に入りのシーン。



第26話


飛竜素材による装備の新調と、オリバーの家への訪問。これも書いていて楽しかったというか、世界のイメージを固める上で重要なシーンだったと思う。オリバーの剣のエンチャント永続化についてはこれっきりになり、以降で活かせなかったのは心残り。続編書くか?



第27話


この回を書くために輪作の歴史などを調べた気がする。「豊穣の祈り」というのは実際に『D&D』にそんな感じのドルイド呪文があったことからイメージを膨らませた。若様に挨拶するときにちゃんと下馬するというのはさりげないけれど重要な描写だと考えている。



第28話


エレナの口を借りての怒涛の説明回。神狼が聖剣を生み出し、聖剣が神狼を生み出すという答え合わせである。このあたりの展開は執筆を開始した時点では全く考えていなかったことであり、アルフに変身能力を持たせようか否かは結構悩んだポイント。アルフが雌であることを早めに開示することで、ライラの貞操の危機を読者に連想させまいとした。



第29話


さらなる設定開示からの決意表明。それぞれのセリフは本作のエッセンスのようなものが凝縮されている。「シリアスだけどハートフル」というキャッチフレーズは完結後に思いついたものだが、その象徴のような回だと思う。



第30話


冒頭の食事シーンは言うまでもなくお気に入り。一頭のイノシシから様々な料理が作られ、それぞれ好みの部分を堪能している。酵母の炭酸が残っている新鮮なミードというのは、なかなか飲む機会が無いと思われるのでイメージしづらかったかも知れない。そして7人と1匹による新たなる旅が始まる。

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