シナリオの謎解きについて

冒頭で、一行は『異変』解決のために活動していると記される。実は書いた時点では何も考えていなかった。RPGのお約束で「とりあえず何らかの問題が発生しており、それはラスボスを倒すことで解決する」程度に、ざっくり考えていただけに過ぎなかった。


第7話でライラの正体のほのめかしと『異変』の具体例、そして第8話でそれに対応して動き出した人間サイドの背景設定が語られる。このあたりから、なんとなく物語の決着を考え始めたが、問題はどのような手段で、どの程度の確かさで設定情報を開示するかという点である。


結局、第25話をきっかけに、第28話と第29話にて「エレナの研究発表」という形で、当初の想定よりもかなり具体的に語らせることになった。エレナというキャラについては当初は全くの空白で、ろくな役割も考えていなかったのだが、ここで俄然と存在感が増してくる。


そして第36話にて、ついに神様そのものを登場させて種明かしをさせた。ちょっと強引な気もしたが、さんざんライラのことを「巫女」と呼んでいたので、最後に神降ろしをさせても良いだろうと判断。


***


作中では曖昧なままだったが、災害などの『異変』は混沌の獣の仕業であるのに対し、魔物の出現は豊穣神が大地に力を注いだ(特に、人が集まる中央都市の周辺の地域について)結果であり、両者は明確に区別されている。魔物は厄災であると同時に人類に恵みをもたらし、また対抗のために結束させるという役割を果たしたのである。


混沌の獣が滅んだ後は、豊穣神が大地に力を注ぐ必要がなくなる。そもそも第36話では「私に残された力」と語っているので、既に神としての力は失われつつある。魔物自体はその後も生態系に組み込まれて子孫を残すだろうが、いずれ人間によって狩り尽くされる時代が来るかもしれない。

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