ヒロイン、ライラについて

前述のように、元は読み切りエロ短編用のキャラである。いろいろなヒロインのバリエーションを考える過程で「牙や爪のある獣人ヒロインといちゃいちゃする話」を書きたくなったのが始まり。はっきり言って獣人そのものに思い入れはない(嫌いではない)し、犬を飼ったことすらない。


本作のラストでつなげたのだが、短編においては裸で戦う設定となっている。これはエロ目的の裸体描写であると同時に、『ウィザードリィ』の裸忍者の一つの解釈である(ただし個人的には、無装備=裸という見方には否定的なのだが)。調子に乗って、38話「帰還」ではロクトフェイトまで入れてしまった。持ち物だけでなく記憶も失うのは、#5の「呪文自体を忘れる」というペナルティのアレンジであることは言うまでもない。


なお、服を着たときのイメージは「エプロン付きのワンピースにフード」であり、「赤ずきん」である。本来は狼とは対照的な存在なので、色は補色である緑色にした。第18話「装備」にて「羊毛製の丈夫な服」に着替えたのだが、見た目のイメージは変わらないと思ってよい。


トムは初見でローティーンだと想定したが、実際はしっかり大人として成熟している。ハイイロオオカミの成獣の体重が40キロ程度らしいので、そのくらいの体格をイメージしている。人間状態での身長は150センチくらい(物語の舞台における成人女性の平均よりは明らかに低い)。彼女に限らず、種族を通して人間よりスレンダーな(胸も小さい)設定である。


(年齢ごとの成長や寿命のようなものは今のところ未設定。どちらかといえば「人間と同じ」ようなイメージだが、今後書く続編やスピンオフ次第)


そもそもの失敗は、トムを慕う理由を「リーダーとみなしたから」という本能的な刷り込みにしてしまったこと。エロ短編なら惚れる理由などどうでもいいのだが、長編ではもっと心の動きを描くべきだった。トムからライラへの感情も曖昧なままで、17話「関係」にて、ジャックに「結局お前(トム)はどうしたいんだよ」と語らせたのは、作者としての自問自答に他ならない。


オリバーたちの新人を登場させたのは、ライラの扱いに困ったからである。実際、第8話あたりからの設定開示→新人育成の話は、トムとライラの関係性とはほぼ無関係に進めたので非常に書きやすかった。


とはいえ、本作のタイトルからして関係描写から逃げるわけにはいかない。飛竜襲撃などを通して、命の危険を乗り越えるごとに絆が深まっていくようにしたつもりだが、うまく書けただろうか。最後は、物語に決着を付けるという意味でもちゃんと結婚させた。そこに至るまでの時間はある程度スキップしてしまったのだが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る