とにかくうざったい嘘つき

エリー.ファー

とにかくうざったい嘘つき

「あなたは誰ですか」

「築山 千一郎と申します。よろしくお願いいたします」


「誕生日を教えて下さい」

「八月十九日ですね。確か、十八日になるかぎりぎりだったそうです」


「血液型を教えて下さい」

「A型です」


「職業は何ですか」

「今は居酒屋でアルバイトをしています。少し前まではパティシエをやっていました」


「好きな食べ物はなんですか」

「リンゴとバナナとグミですね。ただ、リンゴ味のグミとバナナ味のグミは嫌いです」


「嫌いな食べ物はありますか」

「食パンと白飯と茄子が嫌いです。なんか、余り味がしないものが苦手で」


「好きな飲み物はなんですか」

「牛乳です。苦手なのは水です」


「暇な時は何をしていますか」

「散歩したり、洗濯したり、まぁ、家事ですかね」


「好きなものと嫌いなものを分ける条件とはなんですか」

「なんだろうなぁ。分からないですね。ごめんなさい」


「小説は好きですか」

「読まないんですよね、ごめんなさい。親には、本を読めってうるさく言われてたんですけどね。結局、読書は最後まで趣味にならなかったなぁ」


「映画は好きですか」

「好きですね。邦画の孤独な太陽が一番好きです」


「将来の夢のようなものはありますか」

「ないですね。とにかく、毎日を過ごすことで必死です」


「毎日、お風呂に入っていますか」

「入ってますよ。もちろん、何でですか」


「朝ごはんは食べますか」

「食べますねぇ。朝ごはんを食べると目が覚める気がするんですよね。食べないと力が出ないんです」


「結婚していますか」

「していません」


「子どもはいますか」

「まぁ、いないですね」


「子どもは好きですか」

「好きですよ。なんていうか、嫌いじゃないっていうか」




「ぶっ殺すぞ」

「強い言葉を使うなよ。見ていて恥ずかしくなる」


「お前の命もここまでだ」

「かもしれないな」


「お前はアマチュアのくせに生意気だ」

「実力はあるんでね」


「貴様は殺し屋のとしての矜持がなっていない」

「矜持で人を殺せるのかい」


「手抜きをしやがって」

「手を抜いても、任務は成功する。全く問題はない」


「命って何だと思う。なぁ、教えてくれよミスター」

「自分で考えるんだな、ミスセイクレム」


「助けてくれ。頼む」

「頼まれるのは悪くない。しかし、遅い」




「お前の名前を教えろ」

「葛見 城三郎だ。お前も名前を言え」


「お前の罪を教えろ」

「教える義理はない。偉そうに命令するな」


「お前の力を見せろ」

「お前が、俺に見せてみろ」


「お前の美学を語れ」

「そんなものはない」


「お前の哲学を教えろ」

「それは、美学とどう違うんだ」


「お前は何者だ」

「ミスターウィズニーハヴケーションと呼ばれている。何者かどうかは、俺が決めることじゃない。お前が決めろ」


「お前はこの世界のバグだ」

「知ってるよ。だからこそ、ここまで積み上げてきたんだ」


「お前は誰になろうとしている」

「神だ。そして、お前の地位を奪うつもりだ。覚悟するがいい、この三流め」


「お前にとって世界とはなんだ」

「俺そのものだ。そして、俺は宇宙でもある。お前に分かるか」


「お前は誰を殺したんだ」

「気付いていないのか、もう何度も殺している。お前だよ。」

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