小江戸川越・お台場(七夕・Wデート)中編
■Wデート 午後の部(前半)
(1:30 p.m. 蓮馨寺講堂1F 男子控室)
午後の撮影のために浴衣を着替える聡一郎と当麻。
「ほんとに午後も撮影するの?昼食シーンはカットしたのに。鰻食べた気が全くしない」
「おまえ全然、撮影されてないだろ。カメラさん嘆いてたぞ」
「当麻だって逃げてたって大谷さんから聞いた」
「俺のは演出、橘のとは違う」
「鰻とツーショットなら撮って貰いたかった」
「撮ってたよ、橘は気づかなかったみたいだけど、大谷さんがしっかり撮ってた」
「嘘!大谷さんってカメラマンだったの?」
「あの人は何でも出来るの。橘は食べることに集中し過ぎ。だから気づかなかったんだ」
「お腹空いてたから仕方ないよ」
「お腹空いてた?おにぎり食べて、アイス食べて、たこせん食べて、たい焼き食べて、紫芋まんじゅう食べて、焼き煎餅齧って、みたらし団子も食ってたよな、食べ過ぎだろ?」
「何で知ってるんだ?おまえ怖い」
「大谷さんに写真見せて貰ったから知ってるの」
「貧乏学生は食いだめしないと生きていけないの(大谷さんって何者?いつ撮られたんだろ)」
「居眠りしてるのも見たよ」
「冬眠したかったの、たくさん食べたら眠くなるの本能だろ」
「おまえは熊か、って言うか、何で貧乏なんだ?橘なら、いくらでも稼げるだろ?」
「どうやって?」
「家元だろ?」
「お茶のこと?だったら稼げない。お金貰って一期一会や侘び寂びなんてあり得ない。たまに実家の手伝いで授業もするけど、それもただ。お茶なんて全然儲らない。好きじゃないとできないよ」
「何かおかしいと思わないのか?」
「おかしくないよ」
「マジでそう思ってる?分かった、ともかく浴衣着替えよ、スタイリストさんが選んでくれてる」
***
-- 浴衣の選択(午後))--
上野和香: 灰桜、淡いピンクと紫の桜模様(精神の美しさ、優美な女性)、綿100%
片岡瑞穂: 黒地、注染向日葵(憧れ、熱愛)、綿
聡一郎: 生成、
当麻: 灰色、近江ちぢみ縦縞、綿麻[(屋形船)濃紺、注染刺子花火、綿麻]
(3:15 p.m. お台場 デックス東京ビーチ)
大谷小平が午後のスケジュールを説明する。これから、デックス東京ビーチでショッピングとエンターテイメントを楽しんでしん貰います。ただし人混みの中でバラバラに動かれると撮影できないので、午後は4人一緒に行動して貰います。カメラは意識しなくても良いけど、走ったり、逃げたりしないこと。撮影ポイントは4人一緒に通過するようにして下さい。次の集合場所は、お台場海浜公園マリーンハウス、5:00 p.m.頃に集合して下さい。
(撮影ポイント)
①立体的に見える不思議な絵画が展示されている「東京トリックアート迷宮館」
②駄菓子やレトログッズなど、昭和レトロな空間が広がる「台場一丁目商店街」
③本場大阪から選抜された大阪人お墨付きの「たこ焼きミュージアム」
④東京ジョイポリス「ハーフパイプ トーキョー」
⑤東京ジョイポリス「妖屋敷 ~大江戸百鬼夜行奇譚~」
(撮影ポイント①東京トリックアート迷宮館)
『海の隠し絵』10種類の生き物、サメ、クジラ、カメ、カジキ、マンタ、イルカ、アシカ、イカ、カニ、タツノオトシゴが隠れています。
「じゃあ順番に、ハイ、ここサメ」当麻
「クジラ」聡一郎
「カメ」和香
「カジキ」瑞穂
「マンタ」当麻
「イルカ」聡一郎
「アシカだよね、これ」和香
「え〜、分かんない」瑞穂
「右上の方、それじゃない?」当麻
「これ、イカ?ほんとに」瑞穂
「だって他にいないじゃん」当麻
「で、多分、これがタツノオトシゴ、最後はカニかな」当麻
「最後はカニか、カニ、カニ、、カニ、いない、、いた!エビ!エビだよね、これ」聡一郎
「駄目、カニな」当麻
「今日はお休みだって、カニは。お母さんが猿に酷い目にあったらしい」聡一郎
「また、適当なこと」当麻
「ほんとだって、このカメがそう言ってる」聡一郎
「嘘つけ、ちゃんとカニはいるよ」当麻
「マジ、どこ?」聡一郎
「ここ」両手で聡一郎の頬を引っ張る当麻
「撮影タイムだ、答えられなかった人が替わりにやるの、橘がカニだからな」当麻
撮影後
「カニって浴衣が似合うんだね、二人とも可愛い、上手く撮れてる」和香
「片岡は優しいな、ちゃんと橘と一緒にカニのポーズしてあげるもんな。優しい彼女で羨ましい」当麻
「次はスポーツ・コーナー、「スノーボード・ハーフパイプ」、北京五輪ゴールドメダリストの平野歩夢と一緒にトリプルコークだって、壁がハーフパイプ、床が空になってて、空を舞うボードに乗って撮影、写真を180°回転させるのか(注)」当麻
(注)実在しません
撮影後
「何か4人バラバラに飛んでるな、片岡は橘と手つないでるし、上野は万歳して立ってる、、絶対に着地できないな。ちゃんとトリプルコークしてるの俺だけか」当麻
「浴衣でトリプルコークって変、おまえ浮いてる」聡一郎
「続いて、西遊記とシルクロードのコーナー、『觔斗雲にのった孫悟空と三蔵法師、猪八戒、沙悟浄』と一緒に旅をしよう、か(注)、でも時間がないから觔斗雲はカットな」当麻
「え!」聡一郎
「おまえ写真を撮られるの嫌がってただろ、次行くぞ」当麻
平山郁夫と「落陽のシルクロードを行くラクダ」に乗ろう、横向きでスクワットのポーズをして下さい(注)。
「ラクダの頭とコブは壁、床に脚が描かれてて、先頭のラクダに平山郁夫が乗ってるんだ、良く考えるよ」和香
「最後はSFコーナー、『無重力の月面で、地球を背景に、跳んでみよう』(注)と、隣りの部屋は『スタウォーズのヨーダと一緒にフォースの練習』(注)か、上野はどっちが良い?」当麻
「浴衣で月面ジャンプかな、橘君と瑞穂は向こうでヨーダと遊んでるけど」和香
「上野は大人だな、俺も雑誌の特集的にそうだと思う。取り敢えず4人一緒に撮って貰うか」当麻
(注)実在しません
撮影ポイント②駄菓子やレトログッズなど、昭和レトロな空間が広がる「台場一丁目商店街」
「また昭和に戻ってきた、やっぱり甘い香りがする」瑞穂
「これってクレープと蕎麦粉のガレットかな、バターと砂糖、強力粉の香りに混じって、蕎麦粉の香りがする(注1)」聡一郎
「ほんとだ、もちもちのクレープと蕎麦粉のガレットだって、美味しそう」瑞穂
「でも、ここは我慢して貰うから、『一丁目プレイランド(注2)』と『ハイカラ横丁(注3)』で写真撮ったら、『たこ焼きミュージアム』でたこ焼き食べることになってる」当麻
(注1)蕎麦粉のガレットはないかも知れません。
(注2)「一丁目プレイランド」100台以上の懐かしいゲーム機が集結。テーブル(ビデオ)ゲーム(インベーダー、パックマン、スーパーマリオブラザーズ、ストリートファイターⅢなど)、ピンボール、10円ゲーム(国盗り合戦など)、ジュークボックス、1000点以上の昭和アイテム(ポスター、漫画雑誌表紙、レコードジャケット、看板など)をディスプレイ。
(注3)「ハイカラ横丁」グッズやオモチャがランダムに入ったコスモス自販機とキティちゃんのポップコーンが目印のお店。圧巻の駄菓子コーナーと、お店のすみずみまであるレトログッズが自慢だそうです。
撮影ポイント③大阪人お墨付きの「たこ焼きミュージアム」
「というわけで『たこ焼きミュージアム』。ほんと、片岡も橘も良く食べるよな。午前中も凄い食べてたけど大丈夫なのか?」当麻
「食べても太らないんだ、羨ましいよ」和香
「大丈夫、明日は後悔してるから」瑞穂
「明日で良いよね、今日はもう手遅れ」聡一郎
「分かってんだ」当麻
「でも、未だいける。今のが天王寺アベノタコヤキ『やまちゃん』(注1)か」聡一郎
「じゃあ、私は大阪玉手『会津屋』(注2)を買って来る、たこ焼き発祥の店だって」瑞穂
「俺もたこ家『道頓堀くくる』(注3)のチーズタコ焼きフォンデュを買って来る」聡一郎
(撮影中)
「どうすんだよ!こんなに買い込んで」当麻
「何かビールも飲みたくなってきた」聡一郎
「今日は駄目だぞ、20歳になってないだろ」当麻
「じゃあエア乾杯。当麻も飲めば、一気やって、ついでに、たこ焼きもどうぞ」聡一郎
「俺はもういい、夕飯食べれなくなる」当麻
「まあ飲んで、ついでにたこ焼きも、いらない?まあそう言わずに、どうぞ(お願いします)」聡一郎
(注1)生地にも焼き方にもこだわる天王寺アベノタコヤキ「やまちゃん」。毎朝4時から4時間煮込む鶏ガラベースのだし汁には、玉ネギ、キャベツ、ニンジンなどの野菜、バナナ、リンゴなどの果物が10種類以上も加えられていて、女性にも好評の味に。焼き方は、特注の分厚い鉄板でじっくりと。そうすることで、スープに隠された素材の香りと旨味が一気に放ち出すそうです。
(注2)創業は昭和8年。たこ焼き発祥の店である、歴史ある大阪玉手「会津屋」。手でつまんで食べられるよう、サイズは小ぶりな一口サイズ。サクッとしたシュー皮のような歯ざわりの後に、和風ダシで旨みたっぷりの生地が溢れ出す。鰹のダシに醤油を加えた奥深い生地を生かすため、具はタコと天かすのみと至ってシンプル。
(注3)たこ家「道頓堀くくる」、大きめのたこ焼きには、新鮮な大ぶりタコとシャキシャキのネギがたっぷり。そこへ、ピリリとした紅生姜、甘みの天かすが加わって素材の旨みを際立たせます。仕上げには白ワインをフランベのようにまとわせます。
撮影ポイント④東京ジョイポリス「ハーフパイプ トーキョー」
「何か吐きそう。たこ焼き食べ過ぎ、当麻が食べてくれなかったからだ」聡一郎
「食ってたろ、俺も、上野も」当麻
「私も、しばらくたこ焼きは見たくない」和香
「仕方ない、エア胃薬でも飲むか、意外と効きそう。上野さんもどう?」聡一郎
「ちょうだい、飲んどく」和香
「効くわけないだろ」当麻
「別に効かなくてもいいよ」和香
(ハーフパイプ トーキョーの解説)
スケートボードのハーフパイプをモチーフとしたアトラクション。立ち乗り型のボードが振り子の様に動き、高さ7mまで上昇する乗り物です。ボードに備えてあるペダルを踏み込む事でボードが回転し、ポイントが加算される。踏み込むタイミングによって回転数が増え、比例して加算されるポイントも高くなる。
回転技を駆使してスコアを競う「SPIN-BATTLE」は2人の協力プレイが勝負のカギを握る。フットペダルを踏むポイントが中心のセンターラインに近い程得点が高くなり、センターラインの上で踏めばLIMIT BREAK(1080=360°×3回転)の判定となる。最高得点は9720点(LIMIT BREAK1080×9回=9720点)。
ボードを傾ける際は、あらかじめかかとに重心を置いて白線の所でつま先に重心を移動させる感じで狙うと、LIMIT BREAKを獲得しやすくなる。つま先からかかとについても同じ。2人でプレイする際はあらかじめ踏む方向を話し合っておかないと、お互い対になる方向で踏むと力が打ち消されボードが傾かない。判定が安定しない時は気持ちやや強めに踏んでみましょう。
なお、このアトラクションは『非常に酔いやすくなってます。飲み過ぎ、食べ過ぎの方は気をつけて下さい。』
(撮影中)
「俺は白線のど真ん中でペダルを踏む、橘はボードが傾くように、俺に合わせてフットペダルを踏み込めば良い」当麻
「何で当麻とペア・プレイなの?」聡一郎
「マジで最高得点狙うから、始まるよ」当麻
1回目、センターラインで当麻に合わせて、ペダルを傾ける聡一郎。スクリーンにLIMIT BREAKが表示される。
「うわぁ」聡一郎
1080点、急回転しながらボードがパイプを駆け上がる。
『さすが橘、あっさりLIMIT BREAK取った。雑誌的にもここは決める、俺と橘で最高得点を叩き出す!』当麻
『くるくる回って気持ちいい。けど、酔いそう、しかも今のが未だ4回目、あと5回もある』聡一郎
『あと3回、楽勝だな』当麻
『限界っぽくなってきた、ちょっと回転止めたい』聡一郎
『マジか?ボードが傾かない、おまえ俺と対でペダル踏んだな』当麻
『止まった。でも、やっぱり吐きそう』聡一郎
『ま、いいか、もうちょっと虐めてやる』当麻
『やばい、フェイト?』聡一郎
スクリーンにLIMIT BREAKが表示され、ボードが再び急回転する。
「ラスト、橘、合わせて!(裏技を使う)」大声で叫ぶ当麻、『え、ここで踏むの?』聡一郎
NICE(180点)の入り際、ペダルをショートカットで踏む当麻と聡一郎。
『上手い、回転しなかった、ラスト、間髪いれずにセンターラインでもう一回』当麻
センターライン上でボードが傾き、回転しながらボードがパイプを駆け上がる。
『やっぱ橘、最高!裏技もピッタリ合わせてきた、他の奴とは絶対、無理』当麻
スクリーンにNICE(裏技ポイント180点)、LIMIT BREAKが連続表示され1260が加算される。
「大丈夫か?ふらふらしてるぞ」足がもつれた聡一郎が当麻に寄りかかる。
「ごめん、1回ロスった。うっ、未だ気持ち悪い、ちょっと肩かりたい」聡一郎
「良いよ、気にしてないから」聡一郎に肩を貸したまま、二人並んで壁に寄りかかる。
「落ち着いた?」当麻
『橘、目が潤んでる、何か可愛い、浴衣だし』と聡一郎を眺める当麻。『そうか、髪切ったからか、顔が良く見えるようになった。スピンマスターか (8820点=1080×8+180)、悪くない』と思う当麻。
「上野と片岡はプロダンサーか(6840=
540×1+720×2+900×3+1080×2)」当麻
「楽しかった!凄く、ぐるぐる回ってたね」瑞穂
「ほんと、7200点で20回転だとすると、360点少ないから19回転したってことかな」和香
「橘君と藤原君は?凄いな、8820点だって」スクリーンで確かめる片岡瑞穂
「瑞穂ちゃん、お疲れ様」聡一郎
「橘君、ふらふらしてるけど、大丈夫?」瑞穂
「瑞穂ちゃんは元気そうだね。良かったけど、ちょっとショックかも」聡一郎
「藤原君、9000点超えなかったんだ」和香
「1回だけロスった、吐きそうになった橘に回転止められた。酔ってたくせに、あいつはどんだけ凄いんだ。俺の動きと体重移動を真逆にコピーして、完璧に動きを殺した」当麻
「ほんとに皆んな凄いよ、瑞穂も可愛い顔してるけど逞しいわ」和香
撮影ポイント⑤東京ジョイポリス「妖屋敷 ~大江戸百鬼夜行奇譚~」
(妖屋敷 ~大江戸百鬼夜行奇譚~の解説)
最新の3D技術を駆使して生み出された「浮世絵の中の妖」たちの世界を体感。さらに座席に仕込まれた仕掛けや、屋敷内をかき回す“突風”などあっと驚くからくりで、臨場感溢れる体験を!
老若男女問わず楽しめる「和風テイスト」の ホラーアトラクション!夜な夜な妖が集う屋敷に潜り込み、覗き見る噂の「百鬼夜行」。四方八方動き回る妖達は、壁や天井、障子や襖の陰などから隙をついて不意に現れたり、座席毎ぐるぐる回転したり。ちょっぴり怖いけど、どこか親しみ易い妖達が繰り広げる通りすがりのちょとした“悪戯”に暫し、お付き合いを…。
(撮影中)
正面に3D映像のスクリーン、左右と後ろにもスクリーン(正面以外は3D映像ではない)。
「藤原君、ここって撮影ポイントだよね、どうやって撮影するんだろ?」和香
「カメラさんが許可貰って一緒に座ってる、あそこと、あそこかな」当麻
「本当に雑誌に掲載されるんだよね」和香
「嫌か?」当麻
「嫌っていうより、恥ずかしい、かな」和香
「上野は綺麗だよ、飾らないし、裏も表もない、それに、今日は楽しんでる」当麻
「楽しいよ、藤原君のおかげかな」和香
「違う、橘も片岡も同じだからだ」当麻
自分だけ得したいとか、誰かを出し抜こうとか、駆け引きなんてしない。どっちかって言うと、自分のこと忘れて誰かのために一生懸命に応援する、そっちの方が好きだろ。
俺もそう、だから今日は楽しめてるし、嘘じゃないから、他の奴にも見せてやりたい。恥ずかしくないよ。
「何か恰好良いね、藤原君、髪も黒くしたら良いのに、そっちの方が似合うと思う」和香
「いつかそうするかもな、ほんとは外見なんてどうでもいいんだ」当麻
「3Dメガネをつけろって、始まるみたいだ」当麻
(妖怪の登場)
ストーリーは「ぬらりひょん」や「ろくろ首」が妖屋敷を案内する最中、骸骨の集団及び巨大な骸骨「がしゃ髑髏」が襲い掛かってくるというもの。「かまいたち」や「輪入道」が骸骨退治で活躍する。
妖怪は映像だけでなく、オブジェクトで実際に登場して、バタバタと騒動を繰り広げていく。物語に合わせて熱風が吹いてきたり、椅子がガタガタと動いたりするので、お化け屋敷というよりも通常のアトラクションに近い。
「ろくろ首って便利だよね、肩もこらないんじゃないかな」聡一郎
「全然怖くなかったよね、3Dで目の前までアップで来るから、ビックリしたけど、おばさんのアニメだったし」瑞穂
「おばさんだったよね、俺が子供の頃に遊んで貰った人(ろくろ首)は綺麗なお姉さんだったけど。夜の方が忙しいから、昼間は寝てることが多かった。子供の頃はよく一緒に昼寝してた」聡一郎
「知り合いだったの?」瑞穂
谷中のお屋敷(実家)は空襲で焼けて建て替えてるけど、400年くらい前からあそこにあったから、色んなものが居付いてて、ろくろ首のお姉さんとは仲が良かったんだ。でも、一番仲良かったのは座敷童子の双子かな、男の子がハルで女の子がアキ。兄妹で棲むのは珍しいから、凄くラッキーだよって言われてた。
「座敷童子の兄妹か、可愛いだろうな、私も会ってみたい」瑞穂
実はぬらりひょんの孫もいた、今思うとイケメンだったけど素行が滅茶苦茶悪かった。ぬらりひょんは妖怪界の頂点に立つ総大将なのに、気づかれずに家主になりすまして、勝手にくつろいで盗み食いするせこい妖怪で、家の人が気づいても、家主だと思いこませる能力で、しらを切るからタチも悪い。
そのイケメンの孫もせこくてたちが悪かったけど、能力が大したことなくて、なりすましも、しらを切るのも下手だった。唯一得意だったのが、いじけることだったから、あいつには俺も座敷童子も苦労したよ。
「ぬらりひょんの孫はイケメンなのに、いじけるんだ、想像つかない」瑞穂
「子供の頃の話しだから、夢みたいなもんだよ。うちのお屋敷は広かったかし、大人ばっかりだったから夜が退屈で勝手な想像してたんだと思う」聡一郎
「分かる、そういうのは良くあることだよ」瑞穂
「でも、烏天狗はリアルだったな。山伏装束で屋敷の中を好き勝手に飛んでたけど、ちゃんと俺の稽古にも付き合ってくれた、天狗って、わりと親切だった」聡一郎
「
「だと良いんだけど、俺はお茶とお花の稽古に付き合って貰ってた。烏だから嘴でお抹茶を飲むのに苦労してたな、お花は上手にいけてたけど」聡一郎
「面白いね、橘君って」瑞穂
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