雷門(魂振り)
■浅草でランチコン
正午、
びんざさら舞を見学し、お茶を飲んでから、浅草神社から仲見世通りの人混みを掻き分けて、聡一郎、神田淳、片岡瑞穂、目白綾乃がランチコン会場に向かって思い思いに歩く。
ランチコンのタコス&パスタ・バーに到着した聡一郎たちが席に案内される。
「悠一、遅れてごめん、滅茶苦茶混んでた」
「浅草って頼んだの聡一郎だろ、店探すのも大変だったんだからな。まあいい、聡一郎は恒星の隣り、面倒見てくれ」悠一が恒星の席を目で合図する。
本当に来たんだ、と聡一郎が恒星の隣りに座る。
「おまえ、滅茶苦茶浮いてる」
「祭りのついでだ」
「祭り?騒ぐのも好きじゃないだろ」
何か笑える、、ところで、何で合コンするんだ?とググってみる聡一郎。
合コンでカップルや結婚まで到達するのは少数、本気で出会いを探しているなら、マッチングアプリを利用した方が良い。大学生が合コンに参加する目的は人脈を広げるため、楽しみたいから、コミュニケーション力の練習をするためなど様々、彼氏・彼女を探すためだけに合コンに参加するのではない、だって。恒星に、おまえも頑張れな(最後までいたら、褒めてやる)と励ます聡一郎。
だいたい揃ったから、そろそろ始めようと秋葉悠一。まずは乾杯、20歳未満だからノンアルコールドリンクでお願いします、おすすめは誕生石ノンアルコールカクテルだそうです。
じゃあ、飲み物が揃ったところで、いきなりだけど、乾杯!ノンアルコールだけど、酔える人は思い切って酔ってみよう!
-ソフトドリンク メニュー(旬彩IZAKAYA 印のリアルメニューから)-
□オリジナル誕生石ノンアルコールカクテル
1月ガーネット(ベリー・クランベリー・イチゴ)
2月アメジスト(グレープフルーツ・クランベリー・ソーダ)
3月アクアマリン(グリーンアップル・ブルーキュラソー・ソーダ)
4月ダイアモンド(パッションフルーツ・マンゴー・ソーダ)
5月エメラルド(レッドメロン・オレンジ・トニック)
6月パール(ストロベリー・カルピス・ミルク)
7月ルビー(マンゴー・カルピス・オレンジ・ソーダ)
8月ペリドット(キウイ・ジンジャー・レモン)
9月サファイヤ(カシス・オレンジ)
10月オパール(ブドウ・カルピス・ソーダ)
11月トパーズ(マンゴー・グレープフルーツ・オレンジ)
12月ターコイズ(キウイ・オレンジ・マンゴー・クランベリー)
-最初の席順-
男子7人 女子7人
秋葉悠一(法学部) 田町葵(四天王寺経済)
高橋健吾(バスケ経済)巣鴨結衣(四天王寺経済)
渋谷智裕(工学部) 鶯谷七海(四天王寺文学)
神田淳(法学部) 片岡瑞穂(国文学)
橘聡一郎(法学部) 代々木美咲(東大寺国文)
大和恒星(工学部) 目白綾乃(法学部)
藤原当麻(バスケ経済)品川咲良(東大寺法学部)
まず、秋葉悠一が男子から紹介する。めんどうなので自己紹介はなし。気になる人がいたら後で自分で聞いて下さい。
じゃあ、簡単に一番端が大和恒星、バレーボールで超有名だから知ってるはず。その隣りが橘聡一郎、聡一郎は実家が茶道で有名かな。一人一人を順番に説明して、最後に未だ来ていない藤原当麻を紹介する。バスケ部1年、当麻も高校バスケで名が知られてた、目立つのが超好きだから髪は派手な金髪にしてる。
秋葉悠一は男子の紹介を終えると、四天王寺大学の田町葵に女子の紹介を頼む。
「四天王寺大学の女子は、悠一の元カノとその友達らしい」淳
「お互いに利用し合ってる、さすが悠一だ」智裕
***
「コウ君はお顔がお綺麗ですね、コウ君って呼んでも構いませんか?」品川咲良
「もう、呼んでるだろ」恒星
「呼んでましたね。橘君はタッちゃんって呼びますね」品川咲良
品川咲良は目白綾乃の高校からの友人、学部も目白綾乃と同じ法学部。
「何と呼んでも構わないが、高校バレーで騒がれていた時とは違う。今はただの学生だ」恒星
「確かに、コウ君より上野でパンダでも見てた方が和めるよ」聡一郎
「ああ、見てるだけなら、パンダかこいつの方がマシだ」恒星
『コウ君、俺をパンダと並列にしないで貰えますか?』聡一郎
『褒めてやったつもりだ。おまえはコウ君って呼ばなくていい』恒星
「二人だけで話さない」綾乃
「すまない」と謝る恒星
『意外に素直なんだ』と思う目白綾乃。
「だけど、バレーボールを好きでもない、容姿にしか興味がない、そういうのに付き合うのは煩わしいだけだ」恒星
「勿体無い、コウ君はいつもこんな感じ?」咲良
「いつもこう、気にしない方がいいよ」聡一郎
「咲良は気にしてないよ」綾乃
「タッちゃんはどうなの?名家のプリンスだから周りがほっとかないでしょ」品川咲良
「プリンスって呼ばれたことないけど、品川さんはお茶に興味があるの?」聡一郎
「御免なさい、侘び寂び的なものには、全く興味がない」咲良
「一緒だね、俺も侘び寂びは分からない」聡一郎
「気のせいかしら、タッちゃんは家元だよね」咲良
「家元だね、13世宗匠。ちなみに一期一会だったら分かる気がする」聡一郎
「家元って、そんなんで良いんだ」咲良
「良くないから、秘密にしてる」聡一郎
「秘すれば花ね、密会と同じね」咲良
「ちょっと違う気がする」聡一郎
「同じよ、秘かに大人の夜を過ごして、朝起きたら一緒にお茶するの。素敵じゃない」咲良
「素敵じゃない。咲良は秘密を守れないし、そもそも聡一郎のは秘密になってない」綾乃
「大体、おまえは知ってることの方が少ないんじゃないか?」恒星
「何で分かった、それも秘密なのに」聡一郎
「秘密もいいけど、あんたの家は大丈夫なの?こんちが心配になるわ」綾乃
「大丈夫、詫びや寂びがなくても、お茶はお茶で美味しいから」聡一郎
「そうね、若いイケメン茶道家と人目を忍んで、昼下がりの高級サロンでスィーツと紅茶も素敵」咲良
『だったら服くらい買った方が良いぞ』恒星
『ユネクロじゃ駄目なの?』聡一郎
「大丈夫、二人は咲良のタイプじゃないから」綾乃
「そうね、私は顔が綺麗な人は信用しないの。クール過ぎたり、優しすぎたり、タッちゃんもユネクロなんか着て自分を誤魔化してる。そういうのは面倒だし、不安になる。恰好悪くても、私に尽くしてくれる人の方が、私にとっては格好良いの」咲良
「咲良も綺麗だよ」綾乃
「違います。恋する女性は誰でも綺麗になれるの。ちゃんと努力して。綾乃も恋した方が良いよ」咲良
「私は恋愛って柄じゃない。水族館で手を繋いだり、カフェで見つめあったり、観覧車でキス、あり得ないでしょ、寒いわ」綾乃
「綾乃らしい恋があると思うよ。コウ君とタッちゃんも彼女いなさそ〜だけど頑張って。2人とも素敵だし、仲が良くて可愛いから」咲良
「ちょっと待て、誤解してる気がする」恒星
「さっき、コウ君はそういうのは煩わしいって言ってたよ、やっぱり可愛い。偶には綺麗な顔にドキドキするのも悪くないわね」咲良
***
-タコス&パスタ・バーと全5品のランチコース-
(アミューズ)季節の小前菜
(タコスバー)
・具材(野菜): アスパラ、トマト、タマネギ、
レタス、ピーマン、パクチー
・具材(肉): 牛肉、鶏肉、羊肉、エビ、鱈
・サルサ: ロハ(赤いサルサ)、
ベルデ(緑のサルサ)、ワカモレ(アボガド)
・トルティーヤ: とうもろこし生地、小麦生地、
チップス
・調味料他: クミン、レモン、ライム、塩胡椒、
チリパウダー、ニンニク、オリーブオイル、他
(パスタバー)
・小エビ、小松菜、フレッシュトマトの
アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ
・小ヤリイカとほうれん草のスパゲティーニ
トマト仕立て
・小柱と蓮根のフジッリ
マッシュルームのクリームソース
(お魚料理・お肉料理)
・ヴィチェンツァ風 鱈と玉ねぎのクリーム煮
・国産牛ほほ肉のマルサラ煮込みトリュフの香り
・豪州産子羊背肉のグリル ソース・ムータルド
(本日のデザート)
ランチ・ブレイク、タコスバーで具材を選ぶ目白綾乃、恒星、聡一郎。
タコスバーとパスタバーが並んでる、浅草なのにアメリカにいるみたいだと思う聡一郎。ワカモレにアスパラ、エビ、パクチーを加えて、レモン汁をかけ、トルティーヤで巻いて(ワカモレのブリトー、エビ・アスパラ・パクチー入り)、食べてみる。
『美味しい!』
「おい、サルサって辛いのか?」
具材を睨んでいる恒星が聡一郎に聞いてきた。
「辛いの好きか?嫌いじゃないか、これは?」
聡一郎がトルティーヤチップスで緑のサルサをすくって恒星に渡す。
「悪くないが、辛くない」
「こっちは?」
赤いサルサのトルティーヤチップスを渡す。
「少し辛い」
「羊肉は?」
嫌いじゃないか、羊の方がヘルシーで良い。緑のサルサに玉葱、パクチーを加えて、チリパウダー、塩胡椒とレモン汁かな、羊肉と一緒にトルティーヤで巻いて、恒星の皿に盛る聡一郎。
「安心しろ、変なものは入れてない、食べ物は粗末にしない主義だ」
「意外と優しいじゃない」と綾乃が聡一郎に寄ってくる。「私のも作ってくれたりして」
「作っていいの?」と嬉しそうに綾乃の分を作りはじめる聡一郎。
「優しいと言うより趣味か。大和も意外、他人と会話できるんだ」
「当たりまえだ」
「じゃあ、聞いても良い?どうしてウチでバレーしてるの?全然、分かんないんだけど」
「目白さん、出来たよ、鱈とアスパラの激辛トルティーヤにしてみた。恒星も転学するなら早い方が良いぞ、俺は引き止めないからな」
「おまえも大獅は知ってるよな」
「知ってるよ、インターハイで試合した」
「ああ、だけどおまえは分かってない、本当の大獅の凄さを。あいつは化け物だ、誰だって勝てる気がしなくなる」
「なんだ、逃げて来たんだ」
「それは違う、俺は逃げたりしない」
「やっぱりな」聡一郎。
「やっぱり、何だ」恒星。
「アスパラが美味しい、けど惜しい、ホタテも欲しかった」聡一郎。
『わざとか?まともな会話になってない、それに、何これ、、辛すぎ』綾乃
***
(後半、シャッフル後の座席)
男子7人 女子7人
藤原当麻(バスケ経済)品川咲良(東大寺法学部)
巣鴨結衣(四天王寺経済)神田淳(法学部)
秋葉悠一(法学部) 鶯谷七海(四天王寺文学)
目白綾乃(法学部) 橘聡一郎(法学部)
高橋健吾(バスケ経済)田町葵(四天王寺経済)
代々木美咲(東大寺学国文) 渋谷智裕(工学部)
大和恒星(工学部) 片岡瑞穂(国文学)
席替えで、片岡瑞穂の前に恒星が座る、何か話そうとする片岡瑞穂に、恒星から話しかける。
「誕生日プレゼント、美味しかった」
「大和君、食べてくれたの?」
「ああ、聡一郎が食べてたのを手伝った」
「そうか、私から大和君へのプレゼントを、橘君が一生懸命手伝ってくれて、結局、橘君が食べてくれて、大和君がそれを手伝ったんだ、可笑しい」
「自分勝手なことばかり言って、悪かった」
「私も一緒、勝手に好きになって、一人でドキドキしてただけ。橘君は違ってたけど。最初は変な人だと思って逃げてたら、いきなり捕まえられて、弟みたいに笑うし、一生懸命な時は凄く恰好いいし、それでいて本当に優しい。知らないうちにどんどん近づいて来る」
「今は聡一郎が好きなんだ」
「どうかな、橘君は応援してくれてるだけかな、誰かを本当に好きになれって」
「応援してるか、あいつは変わってる」
「でも、大和君もそう、二人とも変わってる」
上品な会話で盛り上って来たところですが、そろそろ、お待ちかねの下品なゲームに行ってみようかな、と秋葉悠一が立ち上がる。王様ゲーム!
(王様ゲームの解説)
ランダムに決まった「王様」が出した命令(罰ゲーム)を、ランダムに決まった参加者が行う。
以下の手順の繰り返しでゲームが進行される。
1. 全参加者がくじを引く
2. 全参加者の「王様だ〜れだ?」の掛け声にあわせ、王様くじを引いたものが名乗り出る。
3. 王様は「○番が○で○○をする」、「○番と○番が○○をする」などの「命令」を出す。
4. 指名された者は名乗り出て、命令に従う。
5. くじを回収して、繰り返す。
あまり盛り上げすぎると、自分に災禍が降りかかってきたりもするので注意すること。
#1「王様だ〜れだ?」、私、と品川咲良が名乗り出る。王様(品川咲良)が「それでは最初は簡単なのから、10番が好きな人の名前を言う」と命令する。
「10番、私か」と片岡瑞穂が名乗り出る。
「すみません、今は好きな人はいません。振られたところです。せっかくだから言っちゃお、片想いの相手は大和君でした。誕生日のプレゼントを渡そうとしたけど、迷惑だって断られました。でも、めげずに、また好きになれる人を探してます」
「勿体無いぞ、恒星!瑞穂ちゃんに謝れ!」と智裕が囃す。
「なんだ、瑞穂ちゃんは聡一郎と付き合ってるのかと思ってた」悠一
「付き合ってないよ、応援してたけど。好きになった相手がね、他にいくらでもいるのに、何であいつなんだか」聡一郎
「でも、瑞穂は前より綺麗になった。イメージが変わった気がする」綾乃
#2 王様(渋谷智裕)「4番が恥ずかしい告白をする」、神田淳が名乗り出る。
「仕方ない、聡一郎の恥ずかしい話しをします」
「あっくん、仕方ないことないよ、自分の恥ずかしい話しだろ」
王様(智裕)、「聡一郎のでもいいよ、続けて」、『聡一郎は抑えといて』
「実は、聡一郎君は女子とはお付き合いしたことはありませんが、飛鳥高校では男子が付き合いたい彼氏のNo1でした」
「ちょっと待って、文化祭で皆んながふざけて俺を選んだだけだろ」
「それだけ?」
やばい、あっくん、まさか?
「証拠写真がここにあります、調子に乗って男と抱き合ってキスしまくってます」
王様(智裕)が証拠を見せなさいと命令する。「マジか?スゲ〜、聡一郎、化粧してるし」と神田淳の携帯に見入る智裕。
「場を盛り上げないとって言うか、皆んな喜んでやってただろ」
「そうか、俺はおまえが恥ずかしかったな、親友として」
嘘つけ、俺にも見せて、と携帯を奪う聡一郎。
「スッゲ〜、いいじゃん、全然、恥ずかしくない」
「聡一郎、消しても無駄だぞ、PCに残ってるから」
「好きにしてくれ」携帯を投げ捨てる聡一郎。
ほんと恥ずい、滅茶滅茶抱き合ってキスしてる、おまえ何人とキスしてんだ、やり過ぎだろ、、
「橘君、凄い、キスしてても楽しそう、お化粧も可愛い。大和君も見たい?」
手を伸ばす恒星に、携帯を渡す片岡瑞穂。
「おまえは見なくていい」と聡一郎が恒星から携帯を奪いとる。
「見せろ、恥ずかしくないんだろ」
「全然、でもおまえには関係ない」
「だったらいい、別に見たいとは思わない」
なんてな、甘いな、一瞬で携帯を奪い返す恒星。
『凄い、はやすぎて見えなかった』瑞穂
『何だ?画面にロックがかかってる』
「おまえだって甘い」と聡一郎が携帯を取り返す。
『また、見えなかった』瑞穂
「そこの二人、さっさと次のくじ引いてくれ」
秋葉悠一が聡一郎から携帯を取り上げる。俺が没収しといてやる、感謝しろ。
#3「王様だ〜れだ?」、鶯谷七海が名乗り出る。
「私、何も考えてなかった、どうしよう?」
「七海ちゃん、初体験のシチュエーションでどう?」と秋葉悠一がヘルプする。それでいいの?じゃあ、「13番が初体験のシチュエーションと感想を話す」と命令する。
「13番だ〜れだ?」
「やばい、俺じゃないか」秋葉悠一が名乗り出る。
「感想も必要?」
「是非、お願いします」王様(七海)
「そうか、初体験は葵とです!」悠一
「お〜」
『マジで言う?ゲームでしょ』葵
「高校3年の夏の終わりだったよな、葵?」
『いちいち聞くな、恥ずかしい』葵
「彼女の家で最初は一緒に勉強してたんだけど、ご両親が帰らないって言われたから、気がついたら結ばれてたって感じかな」悠一
『嘘でしょ、両親が留守だから来たんでしょ』葵
「それで、感想は?」王様(七海)
「やっぱり感想も必要?じゃあ正直に、俺は良かったけど、葵を満足させられなかったんじゃないかって、今でも悔やんでる」悠一
『別れて正解だったわ。満足するとかしないとかじゃなくて、悠一のそういう無神経なところが問題だったって、未だ気付いてない』葵
「満足させられなっかたのね、お気の毒」七海
『って、七海もか、馬鹿の言うことを信じるんじゃない』葵
「七海ちゃんって、天然だね、お人形みたいに綺麗なのにおしい」高橋健吾
「今どき天然ものは貴重だよな、悠一の元カノも凄いの連れて来るな」智裕
#4 王様(巣鴨結衣)「8番がこの中で一番気になる人の名前を言う」、田町葵が名乗りでる。
「一番気になるのは悠一かな」
「葵、マジか?未だ俺に未練あったんだ」悠一
「嘘。そんなわけないでしょ、あんたは圏外。私はクールな男も好みじゃない、大和恒星も失格。男が好きな橘聡一郎は論外。親友を盾にした神田淳も御免だわ。その時王様だった渋谷智裕も同罪。健吾も悪いけど悠一の親友だから勘弁して欲しい。残ってるのは藤原当麻くん、未だ来ていないから駄目だとも言えない。と言うわけで藤原君かな、気になってるのは(この中にいないけど)」葵
「消去法か、しかも残した理由が凄く消極的だった」聡一郎
「ここにいるのは皆んな消された」智裕
「あっくんのおかげで、俺は論外だって。まあ、圏外の悠一よりましだけど」聡一郎
「論外と圏外だぞ、同じじゃないのか?」悠一
「かも知れない。でも、男にキスして何が悪い。偏見だと思う」聡一郎
「やっぱり、聡一郎は男が好きなのか?」淳
「ああ、実はあっくんが好きだ、駄目か?(動揺するな、嘘に決まってるだろ)」聡一郎
#5 王様(高橋健吾)「ちょっとリフレッシュしよう、3番が俺と一緒にラジオ体操第二を実演する」
代々木美咲が王様(高橋健吾)の動きを真似る、代々木美咲の顔がだんだん紅くなる。
「健吾、大分、違うぞ!(あいつセクシー体操やってる)」智裕
#6 王様(秋葉悠一)「1番と11番がにらめっこして、負けた方が店員さんにウィンクしながらお冷やを頼む」、渋谷智裕と鶯谷七海が名乗りでる。
だるまさん♪だるまさん♪にらめっこしましょ、わらうとまけよ、あっぷっぷ!
鶯谷七海の迫力に渋谷智裕が瞬殺される。
「智裕、ちゃんとウィンクしろ、店員さん気づいてないぞ」王様(悠一)
#7「王様だ〜れだ?」、また、俺か、秋葉悠一が名乗り出る。王様(悠一)と幹事の特権で聞く、淳は何番?3番、聡一郎は?9番か。
「じゃあ、3番と9番がポッキーゲームをする。いつも仲良し淳と聡一郎のポッキーゲーム!負けた方にこの熟れた赤いジュースを一気飲みして貰う」
『何で俺?』聡一郎
『淳にリベンジだろ、つべこべ言うな』悠一
-ポッキーゲームのローカル・ルール-
2人が向かい合って1本のポッキーの端を互いに食べ進んでいき、先に口を離したほうが負け。ルールはポッキーを折らない、口を離さない、目を離さない、キスした方が負け。
神田淳と聡一郎が向かいあってポッキーを咥える。ポッキーを口から離さない、目を離さない、キスしないか、、めんどくさいな、キスした方が早い気がする、と思う聡一郎。
神田淳が慎重に少しづつポッキーを噛んでいる。
あっくん、真面目、神田淳の目を見る聡一郎。
聡一郎の目が輝く、ポッキーを噛んだままニンマリ笑う。
『こいつ、何かやる気だ』ポッキーを咥えたまま動揺する神田淳。
『キスしたらどうするだろ?』顔を近づける聡一郎
『こいつ、マジか?』
『ファーストキスかな、もらっちゃおうかな?』
『絶対、マジだ』
『おもしろい、焦ってる』ポッキーをさらに噛む。
『やめろ』目で訴える淳
『やめられない』目を閉じながら顔を近づける。
『あ、キスした』藤原当麻
「するかよ!」淳が目を逸らし、ポッキーを口から離す。
『逃げたか』聡一郎がポッキーを咥えたまま笑う。
淳の負けかな、と悠一。
「おまえ、ルール分かってた?キスした方が負けって」淳が真っ赤になって怒ってる。
「負けたのあっくんだけど。ひょっとして、あっくんはマジだった?俺は練習のつもりだったけど」
「練習?俺で練習するな」
「ちゃんと練習した方がいいと思うよ。さっさと飲んで、唐辛子入りのトマトジュースだって」
目立つことが好きな金髪の藤原当麻が、控えめに悠一とハイタッチして席につく。
「ごめん、バイク、滅茶滅茶混んでた」
「当麻、やっと来たか」
「さっきの誰?キスしてたの」
「聡一郎か?凄い奴かな、見てて飽きないしな」
#8王様(目白綾乃)「牛乳飲みながらスクワット20回する」、今度も神田淳が名乗りでる。
「あ〜、苛々してきた、チビチビ飲まない!」
綾乃が淳の背中をバシッと叩く。
「こら、勝手に休むな!」
今度は淳の後頭部をピシッと叩く、思わず牛乳を吐き出す淳、とどめに綾乃が膝でモモにケリを入れる。床に落ちた神田淳がむせている。
「ごめん、大丈夫?ケリは軽く入れたつもりだけど、綺麗に入っちゃったわ」
『でも、咽せてても泣くな、みっともない』
「だから私の方が怖いって思った?分かった、分かった、怖かったな、今度投げてやるからな」
#9王様(巣鴨結衣)「この中で絶対、付き合いたくない人を1人言う、その言われた人は、皆んなに『御免なさい』を10回繰り返して謝る」、品川咲良が名乗りでて、秋葉君とは無理と即答する。
また俺か、秋葉悠一が可愛く笑顔で、御免なさい、御免なさい、を10回繰り返す。
#10「王様だ〜れだ」、あたっちゃった、と片岡瑞穂が名乗り出る。
「私も聞いていいかな?」
「何でも聞いて」悠一
「じゃあ、大和君は何番?2番、橘君は?6番か、、もう一度、ポッキーゲームしてもいいですか?」
「好きなだけどうぞ」悠一
「2番と6番がポッキーゲームをして、負けた人は、どうしよう?」王様(瑞穂)
恒星を見て考える、「『素直に謝る』かな」
「瑞穂ちゃんの恒星へのリベンジかな?」悠一
「いいけど、何で俺?」聡一郎
「恒星が可愛いそうだからだろ、付き合ってやれ」
恒星と聡一郎が向かい合ってポッキーを咥えて、睨み合う、恒星が少しづつポッキーを食べる。
『目を逸らすと負けか』聡一郎が恒星の目を見る。
絶対にこいつから目を逸らすことはないな、
『キスしてやろうか?』と思う聡一郎。
無理、こいつとはありえない。絶対無理、
恒星の目を見ながら、聡一郎が少しづつポッキーを食べ進む、
『何考えてんだ、おまえ、少しは動揺しろ』
「二人とも真剣だね、いつものことだけど」智裕
「緊張するね、ちょっと怖くなってきた。こうなると思ったけど」王様(瑞穂)
ポッキーを咥えて睨み合う恒星と聡一郎、譲り合う気はない。間合いをみて少しづつ食べ進む恒星。
『やばい、近すぎ、近すぎて怖い』聡一郎
『目を逸らさない、でも目が触れそう、怖い、やっぱ無理』
聡一郎がポッキーを口から離そうとした瞬間、ポッキーを咥えたまま恒星が聡一郎の口をキスしてふさぐ、素早く離れる。
女子から黄色い悲鳴が湧き上がる、
『大和君が橘君にキスしちゃった』瑞穂
「あいつ、キスされた」当麻
『何だったんだ?』固まったまま恒星を目で追う聡一郎。
「悪かった、俺の負けだ、これでいいか、片岡?」と片岡に謝る恒星。
「十分、すぎて、ビックリした」王様(瑞穂)
『俺の方がもっとビックリしたぞ、未だドキドキしてる』聡一郎
「良く分かんなかったけど、恒星が聡一郎にキスしたのか?」智裕
「ああ、驚いた、でも盛り上がってる、あいつ、意外とやってくれる」悠一
「何で?」淳
「大和恒星か、思ってたのと違う、さっぱり分かんないわ」綾乃
#11、、と続く
***
「それでは、メルアド交換したら一旦、解散かな」としめる秋葉悠一。
「橘、LINE交換しない?」藤原当麻が寄ってくる。
「その髪、芸能人みたい。プラチナブロンド?」
「目立つでしょ、今日は大人しくしてたけど」
「QRコード、俺、悠一の友達になってるけど」
「ありがと、橘って彼女いる?」
「いないけど、男ばっかしとキスしてるし、、おまえ、からかいたいのか?」
「からかってないよ、でも大和とキスしてたね、良かった?」
「やめてくれ、あいつは厄病神だ(そうだ、厄除け買って帰ろ)」
「厄病神って何だ?」恒星が寄って来る。
『あ、厄病神』当麻
「聡一郎、おまえ2次会行くのか?」恒星
「(カラオケだろ?)行かない、明日、用事あるし、祭りでも見ながら帰る」聡一郎
「俺ももう良い、帰って練習する。歩いて直ぐって言ってたよな」恒星
「だったら、バイクで送ろうか?」当麻
「ありがと、でも、恒星と歩いて帰るから」聡一郎
『厄病神じゃないのか?』当麻
「そうだ、今度、バスケで遊んで欲しい。高校バスケで有名だったって聞いた」聡一郎
「良いよ、いつでも、これからでも良いよ」当麻
「遅い、帰るぞ」恒星
「今度でいいから、じゃあな」聡一郎、
恒星と一緒に店を出る聡一郎。
「おまえ俺にキスしたよな、ひょっとして俺が好きなのか?」
「おまえとは違う、男だったら誰でもいいんだろ、おまえは」
「言っとくけど、俺は好きでやってるんじゃない」
「男とキスして楽しいか、羨ましい奴だ」
「だから、好きでやってるんじゃないって」
「残念だったな、神田とキスできなくて」
「しつこいな、あれ、おまえ妬いてんじゃないのか?目を逸らすなよ、俺の目を見てろ、本当は羨ましいんだろ?」
「羨ましいわけないだろ、どうしたらそんな風に考えられるんだ」
「目を逸らしたな」「馬鹿げてる」
「気にしなくていいんだぞ」「一緒にするな」、、
『何か楽しそう、、、俺もだけど』当麻
***
■町内神輿連合渡御
(浅草雷門通り)
浅草氏子四十四ヶ町の町内神輿約百基による各町会の渡御しで、氏子達が神輿を担いで各地区を練り歩き、浅草の街が祭り一色に彩られている。
「凄い人混みだ、どうしてこんな人混みに人は集まって来るんだ」恒星
「恒星、ちょっと寄ってこう」聡一郎が恒星の腕を掴み、人混みをかき分けていく。
「またか、どこに行くんだ?」
「仲見世、雷門前、そこが一番賑わってる」
雷門通りから仲見世へ続く人の海。氏子と観光客が入り乱れる人混みの渦の中心に雷門が立ち、その渦に巻かれた2台の神輿を、氏子達が上下左右に荒々しく揺さぶり、神輿に坐す神様の「
「祭がそんなに好きか?」と恒星が聡一郎に聞く。
「小さい頃、あの神輿には神様がのってるって教えて貰った。神様はずっと昔から浅草の町と人を見守って来て、その浅草は神様を守って来たんだ。そう思うと、不思議な気がしてくる」
「不思議な気持ちって何だ」
「懐かしいんだ、神様は変わらないから。祭りに集まる人やその思いがどんなに変わっても、神様で結ばれてる、結ばれてるから、亡くなった人にも会える気がする」
「会えるのか?」
「会えないだろ、変だよな、血筋のせいかな」
「俺には分からないが、変だとは思わない、羨ましい気もする」
「羨ましい、おまえが?」
ほんの一瞬、祭りの喧騒が消えて静かになる。
「どうして、おまえがここにいる?」
静寂の中で一瞬、聡一郎の記憶が混乱する。
「気のせいか?おまえが連れて来たんだろ」
「まあいいけど、やっぱり羨ましかったんだ」
「血統書付いてるのがな」
「俺は犬じゃないぞ」
「それといつも変だから変じゃないって言った」
「変なのはお互い様だと思うぞ」
***
(浅草 鳥越神社)
浅草から秋葉原に向かう途中、鳥越神社に立ち寄る。神社で魔除け(ミニ犬張子)を買う聡一郎。
「ガラの悪い神輿だったな」恒星
「祭りってあんなもんだろ、これ、おまえにつけといていいか?」聡一郎
「何んだこれは」
「魔除け、厄除けの効果もある、おまえにつけとくのが一番効果がある」
「要らん」
「もう付けた、恒星のリュックに縛りつける」
「絶対取るな、取るとばちがあたるからな(かなり笑える)。よし、本当に帰ろう!」
-鳥越の犬張子(鳥越神社社務所の紹介文より) -
犬とは主人に良くなつき忠実で、知らぬ者には吠え牙をむきます。犬張子とはそのような旨より、魔除けとして平安の頃から産室に置かれておりました。当神社の犬張子は竹細工の籠を被っておりますが、その素材である竹と犬を合わせたところに意味がございます。竹と犬という字を合わせますと「笑」という文字に成り、「お子様がにこにこと笑顔を絶やさず若竹のごとくすくすくと御成長下されますように。」との祈りが込められております。
***
-翌日(三社祭最終日) 浅草寺 伝法院庭園-
浅草寺の境内にある伝法院庭園は小堀遠州による作庭と伝わる国指定名勝。桜の季節であれば、枝垂れ桜と五重塔やスカイツリーの借景が美しい庭園だ。約1万平方メートルのこの回遊式庭園内には表千家の「不審庵」を模した江戸時代後期の茶室「天祐庵」もある。祭りで賑わう浅草にあってここだけは閑寂な佇まいを見せている。
三社祭最終日の午後、その伝法院庭園で野点が開催されている。フランス公使に茶を点てる聡一郎、いつも通りユネクロのジーンズを着ている。違うのは道具と作法、秘密は封印し、家宝の茶碗で、ありのまま、本来の自然な作法、所作で点てている。
頭を下げて軽く茶碗を上げ神仏に感謝する公使、茶碗を回して一口、二口、三口で飲みほす、
「あなたのお茶はとても美しい、この空のように澄んでいる、いつもそう思います」と空を眺める公使
「嬉しいです」
目を凝らし、その空に輝く太陽を見つめる聡一郎、「閑かですね、ここは。祭りだというのに」
-浅草寺 伝法院庭園について-
「
通常非公開の「伝法院」は浅草寺の本坊にあたる建造物。江戸時代初期に大名であり茶人としても有名で、江戸幕府の作事奉行を務めていた小堀遠州によりその池泉回遊式庭園が作庭されたと伝わります。空襲により浅草寺本堂や五重塔が焼失した一方で、江戸時代中期に建てらてた伝法院の客殿(非公開)や明治~大正時代に再建されたという大書院・小書院・新書院は国指定重要文化財となっています。
そのほか庭園内にある茶室「天祐庵」は表千家の「不審庵」の写しであり、江戸時代後期の建築。名庭師による庭園と五重塔・スカイツリーの借景、そして美しい枝垂れ桜、いつか期間限定公開ではなく常時公開になってほしい名園です。
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