第2話 追跡
「で、宮地はどこいんの?」
そう言ったのはクラスメイトの
2人は同じゲームにハマっていて電話をかけた時に一緒にいたらしい。
「ハァ…ハァ…。ちょっと…待っ…。一回休ませて…」
お互いの家から近いコンビニなのに、フルマラソンの直後のように加賀見は息を切らせている。
紺野が冷たい飲料水を買ってやると、店の外で一気に飲み干した。
「加賀見、もうちょい痩せようぜ?アイツならあっち。」
コンビニ前の公園を紺野が指差した。
「これでも、女子に人気であるんだぞ。」
「ナイナイ。」
「ないわー。」
同じようなツッコミが紺野と白木から返ってくると、加賀見は豊満な下腹をパーン!と叩いた。パーンというよりポーンという音に近い。
何かの打楽器のような音がする。
ポン、ポン、ポポ・ポーン、ポン、ポン、ポポ・ポーン。
「これやると女子が笑いながら集まってくるんだよ。」
「笑われてるんだよ。」
「やめろ。気持ちよくビートを刻むな。歌うな。ここでゲリラワンマライブ開催すんな。」
2人に止められて加賀見はへの字ぐちで手をそっと下ろす。
「こんな事してたら宮地見失うんじゃない?」
白木が公園に視線を向ける。
周辺を桜の木が囲んでいて中の様子は分からないが、出入口は1つ。出てきた気配はない。
「まだ、いるよ。」
紺野達は公園の方へ歩き出した。
「でもさ。リア充がイチャイチャしてるのを見てもなぁ。」
加賀見はやや気乗りしない言い方だが手にはスマホを持って現場を押さえる準備をしている。
「いやぁ、アレは付き合ってないな。どっちかっていうと片思いかこれから告白だな。ウン。」
紺野は知ったふうな顔で推理した。
「今どき花束持って告白?」
白木も苦笑いしながらポケットからスマホを取り出した。
「だから面白いんじゃん。あ、撮ったやつをネットにあげるのはナシだぞ。そこまでワルじゃねーし。あっ、スイマセン。」
話に夢中になっていた紺野は公園の入口で人とぶつかりそうになり、相手を見上げた3人は息を飲んだ。
宮地が怪訝そうな顔で睨みつける。
「お前らかよ。あぶねーだろうが。スマホはしまって歩け!」
もっともな理由で睨まれて3人があたふたしていると、その後ろから女性の声がした。
「もしかして、お友達?」
小柄な中年の女性の手には、あの花束があった。
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