第19話 はじめてのともだちと、いろいろなぞ

 さすがに絵本で色々ツッコみを入れるのは適切でなかった。「わかりました」とだけ答えて、次は仕方ないから私も、他の4,5歳児に混じりお絵描きをすることにした。


「わたし、エミリス! うちはざっかやだよ! よろしくね、レニーナちゃん!」


 と赤毛の女の子が笑顔で語りかけてくれて、もう一人の茶髪の子もはーいと手を挙げて元気に自己紹介してくれる。


「あたしはオリーラ、おとーさんはやさいつくってるよ!」と自己紹介してくれる。


「わたしはレニーナ、おとうさんはごみんかん!」


 とこれはなかなかナイスな子供っぽいコミュニケーションができているのではないかと我ながら思い、「みんなで絵をかこうね!」と笑顔で言って誘った。


 絵のほうは教室にある題材が色々あったが、私たち3人はチコレットの実を描く事にした。ただ私は大人げなく絵は全力は出さずに、リアリズムに基づきながらもそれでいて幻想的にも見える、しかしながら子供達を画力で大人げなく圧倒しない、控えめな感じに留めて描く事にした。


 エミリスちゃんのお父さんは、隣の市、ウェスタ市から食料から雑貨まで仕入れて、村のお店で売ってるらしい。遊びにいってみたいものだ。


 オリーラちゃんのお父さんは農業をしているらしくこの世界の穀物で、「ファナの穂」という穀物を栽培しているのだそうだ。


 ただ、私は納税で収められるのを見たし、実際にパンがあるのだから思うのだが、「ファナ粉」というがどう考えて小麦と小麦粉のように思える。チコレットだってりんごと言い切らなかったのは、皆が「チコレット」と呼ぶし単語ドリルにもそう書いてたからである。


 ドードーがいたり、確かにリィズが、環境は地球と似てるから違和感がない、と言っていたが、ここまで一致するものなのか。さすがに距離の単位は違ったし、一月を表す言葉は12神柱の名だったが、それでも「12ヶ月」だし、365日である。


 1日は24時間で、1時間は60分であって、地球を基準とした単位が当てはまるのが多いのも気にかかる。


 そう考えつつ、私はつい筆が乗ってきたので、大人げない出来になってしまった。二人とも泣かなければよいのだが。


「さて、3人とも描けたかなー? おお、エミリス、なかなか良く描けてるじゃないか! オリーラも良い線いってるよ。レニーナちゃんは……苦悩した顔の……デスマスク??」


 美的センスの欠片も無い教師である。それに私は本気を出していない。全力の……80%くらいしか。


 そう、なんとも恰好のつかない感じに幼稚舎の授業は終わった。



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