第20話 いろんな、かみさま達

 私は4歳も終わり、来週ついに5歳を迎える。5歳になると自らが信仰する神を選び祝福を受ける、らしいが……。一応、幼稚舎の教育で、様々なものを司る神というものを教わった。


・主神たる「場」と叡智、時と運命を司りし、「女神フェンリィズ」


 ……どの辺が叡智な感じで知的だったのかは分からないが、私に世界の真理の一部を教えられるくらいだから、一応は叡智とやらはあったのだろう。


 そしてその主神の下に、12の神がいるらしい。


・女神フェンリィズの補佐を務める、12神の議長たる、歴史、知恵、学問の神「男神ホーネット」

・生命と誕生、死、を司りし、「女神ユースティア」

・風と空、天、月を司りし、「男神ルティアス」

・土、植物、自然、農業を司りし、「女神サティナフィア」

・水、川、湖、海、天候、航海を司りし、「男神カルディウス」

・鉱物、金、商い、工業、契約を司りし、「女神イーステシア」

・正義、法、衡平を司りし、「男神グルード」

・武力、戦い、勇猛、戦士を司りし、「女神ルクス」

・芸術、美、詩人、文学を司りし、「男神オルテール」

・娯楽、酒、賭博、享楽、性を司りし、「女神ミレーナ」

・砂漠、太陽、火を司りし、「男神フェルザード」

・慈愛、奴隷、忠誠、罪人、娼婦、赦しを司りし、「女神スセジ」


 ……がいるらしい。「らしい」というのは、私が見たのはリィズと、あとユースティアの眷属でどうこうというルートシアニくらいしか知らないからだ。


 ちなみに父のロイは女神ルクスを、母はユースティアの信者だが、12神柱の一人を祀っている大神殿というのがあり、その他、12神柱の全員を祀りつつ、一人の名を冠した地方の各神殿が各地にあって、小規模なとこでは礼拝堂というのが各地にある、という感じのようだ。


 大神殿を始めウェンディス聖教会という存在がどういうものなのか分からないが、これだけ「神」が身近にいる社会だと、かなり権力を持ちつつ、ある意味俗世的というか、古代ギリシャのギリシャ神話の神殿のようなもので、厳しい戒律的というのがある神というのは、それほど多くないらしい。


 それほどは明確な戒律はなく、その代わり「神の御心」にあまりにも反する事をしたら、加護が失われたり停止されたりするらしい。他者の心を読めない我々にたいして、我々人間の心を読める力がある神とやらの「御心」を読め、とはムチャクチャな話だと思うのだが。


 例えば、「鉱物、金、商い、工業、契約を司りし女神イーステシア」とやたら範囲が広い気がする、第二次第三次産業を司るらしい神は、その神に誓約した場合の契約の効力は、不当でない限りは絶対らしい。


 だから商人になるならイーステシアを信仰して、契約する相手にイーステシアに誓うよう求める事で、契約は守られるという事だ。裁判所や登記などはどうなってるのか興味深い。


 また許しがたい事に国によっては人間を所有物として扱う悪逆非道な奴隷制もあるらしく、売買まで行われていて、中世ヨーロッパよりある意味酷いかもしれない。


 それでも、皮肉な表現だが、「慈愛、奴隷、忠誠、罪人、娼婦、赦しを司りし、女神スセジ」を信仰する者は、奴隷は慈愛により、買い手の理不尽から守られ、罪人は赦しを乞い得られる事ができるようだ。



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