第3話 占い師の胸中は……
わたしには未来を見通す力を授けられました。
ですが、その力の発動には多大な力を必要としているのです。
わたしは聖女という立場上、信徒の皆様と共に女神様へ「お祈り」します。
一人一人の祈りの力は僅かですが、集まれば絶大な力となります。
人は、神々の子供たちとして、僅かながらも神力を帯びています。
一人一人の神力は微少ですが、一つになれば強力な、神力となります。
その力は女神アルメルス様へお送りし、しかる後に祝福としてわたしたちは享受するのです。
集められた神力の一部は、わたしの癒やしの力を増幅させたり、予知の力を発動させる力の源となります。
特に予知は、多大な神力を必要とします。
予知とは、運命という大河の流れを見通す力。
人々の願い、想いの力は集まり川の流れとなり、集約されます。幾本もの川の流れはやがて運命という大河なります。
ですが、突発的な、偶発的なこと、人の想いでは抗えない力もまた存在します。
大自然の力の前では、人の願いはなんとか弱いことでしょう。
侍の前では平然としていますが、わたしの予知の精度は高くても八割です。
今、わたしが見えている未来は、秘宝スフィアを手に入れた侍の姿。
侍が、「秘宝スフィアを手に入れた結果」から逆算して、彼が行動するように誘導しなくてはならないのです。
侍が、「確定した結果」に対して沿うようにに行動したことで、必然的に秘宝スフィアは侍の手に入るのですから。
そんな予知の力の副産物として、わたしは人の信念、思いの力を見通す力があるのです。
今、一番重要だと感じている人の想い、考えを見ることが出来るのです。
侍の場合は、今は亡き主への忠節心。それに応えるために秘宝を欲しているのです。
彼の名前も見えましたが、異国の言語が入り交じっていたので、完全には読み取れませんでした。
侍はわたしのことを厄介な相手だと認識したようです。
マイナスの感情ですが、何も思われないよりは遙かに良い傾向です。
一番悪いのは、悪印象ではありません。無関心ですからね。
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