ゆったり日曜からの月曜日

 急に休みとなった日曜日、普通は休日を喜ぶものなんだろうけど家でごろごろ過ごすよりも店に行った方が絶対楽しいんだよな。店に行けば夢食さんから色々な話を聞けるし、仕事だってまだまだ覚える事が沢山ある。あぁ~暇すぎる~でも動画とか見る気分じゃないし。


 何時もの習慣で朝早くに起きてしまった故にやることが見つからず、ベットの上でダラダラと過ごしてい俺は少し腹が空いたなとリビングに降りると珍しく兄貴がテレビを見ながら本を読んでいた。


「あれ、こんな朝早くに起きてるの珍しいじゃん」

「昨日の夜から徹夜で起きてるだけ」

「わー不健康」

「うっせ」

「まぁ良いけど、父さん知らない?」

「今日は友達と座談会に行くってよ。何か用事でもあったの?」

「いや、別に無いけどさ」


 暇だから父さんから妖怪の話でも聞こうかなって思ったんだけど居ないのか~これで本当に暇になってしまった。仕方が無いし今日は映画でも見て時間潰すか。


「そういえば、バイトどうだった?」

「え?楽しいよ」

「父さんから軽く聞いたけど妖怪に詳しい人が店主なんだって?」

「そうだけど・・・・それが?」

「いや、俺も行ってみたいなって言ったら次父さんが行くとき俺も行くことになったから」

「は!?」

「いや~面白い人なんだろ?楽しみだわ」

「ちょちょ父さんが行くのは分かるけど何で兄貴まで!?」

「そりゃ俺だった妖怪関連の写真を撮ってるんだから、父さんが面白いって言った人には会ってみたいだろ」

「えぇえ・・・・」


 なんか俺の職場に次々と家族が来てないか?まぁ俺は別に良いけど、そんなに妖怪関係者が押し掛けるのは夢食さんの迷惑にならないか心配だな。てか、わざわざ訪ねに行くって兄貴ってそんなに妖怪の事好きだったのか。


「別に良いけど店主さんに迷惑かけないでね。俺クビにはなりたくないから!」

「当たり前だろ」

「てか、兄貴って妖怪の写真撮ってるんだよね?」

「まぁ妖怪そのものを撮れたことは無いけど、妖怪に関する場所や建造物の写真を撮ってるな」

「じゃあさ、妖怪の事も詳しいの?」

「ん?あ~父さんほどじゃ無いけどある程度はな」


 よっしゃ、見た感じ兄貴暇そうだし父さんに聞こうと思ってた話を聞いてみよっと。兄貴には悪いけど俺の暇つぶしに付き合って貰おう。


「じゃあさじゃあさ、色々聞いてみても良い?暇だろ?」

「誰が暇だと?今俺はゆったりと優雅な朝を楽しんでるんだよ」

「徹夜してるだけなのに何言ってるんだよ」

「今から優雅に寝るつもりなんだよ」

「え~」

「妖怪のこと聞きたいなら父さんに聞いた方が良いぞ」

「居ないから聞いてるんじゃん」

「はぁ、じゃあ俺オススメの妖怪映画でも教えてやるからそれでも見てろ」

「えぇ~」


 そう言ってまたダラける姿勢になった兄貴。どうやら本当に寝るつもりらしい。


「今メッセに送ったやつでも見てろ」

「はーい」


 兄貴は父さんに似て変な所で一度決めたらやり通す人だし、睡眠の邪魔をするのも悪いので俺は冷蔵庫に入っていた昨日の残りをつまみ部屋に戻ると早速兄貴おすすめの映画を見ることにした。


 これは~河童と少年が夏休みを過ごす映画か結構面白そうだな。んでこっちはめっちゃ古い映画だな!内容は外国から来た血を吸う化け物に妖怪たちが力を合わせて戦うやつか~ちょっと気になるな。他は、学校の怪談や七不思議について扱った映画か。学校の怪談と言えばやっぱりトイレの花子さんだよな!俺の通ってた学校にはそういった話があんまり無かったからある学校を少し羨ましく思ってたんだよな~。う~ん、どうしようかな・・・・時間はあるんだし上から順番に見ていけばいっか!


 俺は夕方まで兄貴にお勧めされた映画を見ていったが中々に楽しむことが出来た。殆どが古い映画だったけど、ストーリーと妖怪のキャラが立っていて面白かったしこんなに妖怪の種類が居たんだ驚きだ。俺の特にお気に入りになったのは河童と少年の物語。少年と河童の絆がしっかりと表現されていたし、日常の中にある非日常が今の俺みたいで凄く共感できたしこんな夏休みを過ごせたら絶対楽しいだろうと思える映画だった。


河童か~河童も居たりするのかな~?


 河童と言えば、よくUMA紹介とかのテレビ番組で特集してたりするよな。もしかしたらUMAも妖怪みたいな存在なのかも!今度夢食さんに聞いてみよっと。


 新しい妖怪について知る度に夢食さんに聞くことが増えていく日々。ぶっ通しで動画を見続け少し喉が渇いたのでドアを開けると下から良い匂いが漂ってくる。


 そういや、あんまり飯食って無いから腹減ったな~


 今日の夕飯は何かなと一階に降りるとキッチンでは母さんが夕飯を作り、兄貴はまたテレビを見ていた。此処に居ないとなると、父さんはまだ帰ってきてないのかな?


「今日の夕飯何~?」

「青椒肉絲よ~あと卵スープにかに玉」

「お~中華だ!」

「もうすぐ出来るからちょっと待ってね」

「よっしゃ」


 俺はテレビを見ながら待つ頃にしたので兄貴の隣に座ると


「映画どうだった?」

「すげぇ面白かった!」

「そりゃ良かった。にしてもあんなに興味無さそうだったお前が妖怪映画を見るようになるんて相当そのバイト先の店主さんが影響してるんだろうな~・・・・気になるな」

「あはは」


 俺が興味持ったことによってより兄貴が夢食さんに興味を持っちゃったみたい。まぁ夢食さんなら色々聞かれても躱せるし大丈夫でしょ!夕飯を食べた俺は父さんが帰ってくるのを待ったが、夜遅くになっても帰って来ないので明日に支障が出るといけないと眠ることにした。今日は地下の世界で暮らす夢でも見ようかな。


 次の日もいつも通りに朝起きて学校に行った俺は、いつも通り急いで求眠堂に行き掃除をしていると、この時間には珍しいお客さんが訪れてきた。

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