5章過去 後半
あらすじ 陰中絆希(かげなかなづき)と深間凌(ふかまりょう)は小学生の時から幼馴染。二人は大人になって、最強で最高の二人になる、という夢を掲げた。二人は切磋琢磨をし、大卒で大手の企業に入社することができた。彼らは社長になることを目標にしたが、彼らの会社は超絶ブラックであった。深間凌は努力家で、昇進する見込みは十分にあったが、社長の思惑で、深間凌の階級は現状維持のままだった。陰仲絆希は不審に思ったところ、衝撃の真相を知った。社長の知り合いの御曹司が次期部長になることを決めていた。そんなことを知らずにいた深間凌は仕事の疲労がピークになり、倒れた。
その続きはこちらです。
「はあ…、はあ…。」
俺は凌の病室へ急いで駆けつける。
401号室にたどり着いた。
コン コン コン
俺はノックをした。
「失礼します。」
俺はドアを開ける。そして、凌吾のベッドの下へ向かった。
「凌!」
凌は気づいたのか、俺の方へ向けた。
俺は近くにあった椅子を持ってきて、凌吾の近くに置き、腰掛けた。
「なっくん…。こんなことになって、ごめんね。俺、選択間違ってたかもしれない…。やっぱりあの時なっくんの言う通り転職を考えた方が良かったのかな…。俺のわがままで、勝手に体壊して、ごめんね。」
「俺は全っ然後悔してねえし、お前は一つも間違ってなんかねえよ!俺なんかよりもすげえ根性があって、俺たちが立てた目標に近づけるようにめちゃくちゃ努力してんじゃねえか!…だから、今は休んで、鋭気取り戻すことに専念してな。」
俺はぐちゃぐちゃに泣き崩れながら凌に言った。
「…ありがとう。」
「…おうよ。……最強で最高の二人になるためには、あの会社だけじゃなくてもいいからさ、お前が本当に辛かったら転職しよう?もちろん俺も一緒に辞める。新しいとこ入って、二人で社長を目指そうぜ。」
「…そうだね。……ありがとう。」
少しだけ静寂な時間が流れた。しばらくすると凌が切り出した
「……もし、俺が死んだとしても、なっくんは自分のしたいようにしていいからね。」
「死なせるかよ。もしそんなことがあったら、あいつらを全員ぶっ殺す。凌をこんな目に合わせやがった罰としてな。」
「それはダメだよぉ…。もし続けるなら正規の活躍をして、社長の座を奪おうよ。
無理だとしても、理不尽に耐えうる最強の人になれるから……。もし………
うゔっ」
凌が突然、咳き込み出した。ますますひどくなっていき、血も吐き出すことがあった。
俺はすぐさまナースコールをかけた。そして、看護師や医師が来るまで、
「大丈夫、大丈夫。すぐよくなる、すぐ良くなる」
と、呪文のように繰り返し、俺は泣きそうになるのを必死に笑顔を作り、凌の手を両手で握った。
凌の最後の言葉は、「俺とずっと友達でいてくれてありがとう。」だった。享年27年の早すぎる死。死因は急性心不全だった。いわゆる過労死。
…こんな目に遭わせやがって。絶対に殺してやる。
…でも、それだと凌約束を破ることになる。それはダメだ。
俺は、親友を失ってしまった悲しさと、クソ上司に負けてしまったことの悔しさで、俺は泣き喚いた。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
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