第2話 期待・目撃

「ありがとうございました!」

 いつもより調子のいいあいさつを聞きつけて、店長が笑いかける。

「声出てるねぇ。今日の収録、そんな楽しみ?」

 そんなわかりやすいか、と恥ずかしい思いをしながら答える。

「はい、昨日までは正直そこまででもなかったんですけど、なんか今日起きてからずっと気になってて」

「まあ、こんな機会あんまりないしね。結構力入ってるみたいだし」

 店長はそう笑いながら、じゃ、頼むよ。と言い捌けていった。


 閉店の時間になり、園子は閉店作業をしていた。撮影までもうすぐだ。そういえば、店長が今日はMCの方と本社のバイヤーの方が出演すると言っていた。MCはどんな方なんだろう、バイヤーの方が出るってことは、そのうち店長とか、もしかして私も出れたりするのかな、なんて思っていると、

「国沢さん。机とか出すの手伝ってくれる?あ、そういえば見学中も時給出るらしいよ!代わりに感想くれだって」

「わかりました!ありがとうございます!」

 園子は反射的にそう答えた。頼まれた仕事の面倒さも、時給ゲットのうれしさも、数十分後への期待と比べれば気にならなかった。


 ひと通り準備を終え、落ち着かない気持ちで本棚を眺めていると、裏口の方からにぎやかな声が聞こえてきた。自分から挨拶すべきか決めあぐねていると、声の主が視界に入ってきた。


 声の主は、大きなフクロウだった。

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