お笑い芸人の精神論

未来アルカ

  『思い込みが激しい』


 「お集まりの皆様こんにちは!そろそろ暖かい季節を迎えますね。寒い季節になると、どうしても気分が落ちてしまって困ったものです。

 気分が落ちると言えば、私は幼い頃から『思い込みが激しく』てですね、よく父から、”もっと前を向いて生きろ”と言われてました。一つ、思い込みが激しいと、どんな事が起こるのか、例を出してみましょうかね。

 例えば、学校に向かう時に、挨拶をしてくれる方がいるでしょう?毎日毎日、同じ時間に登下校の道に出てきているお年寄りの方をよく見ますね。そんな方達とあいさつや軽く会話をした時に、ふと、こう思ってしまうのですよ。『相手は今、私の事をどう思っているのだろう』とね。これはまだ、多くの人が考える範囲です。私の場合は、『もしかして、心の中では悪口を言われているのではないか』や『ここを過ぎ去った後に、この人は他の近隣住民の方と私の話をして、私の印象が悪くなるのではないか』と考えてしまいます。勿論そんな事実はありません。しかし、どうしてもそんな事を考えてしまう為、『登下校の最中は気を抜かずに良い子に見えるようにしておこう』と考え、行動します。まぁ、お陰様で学校の内申点は上がりますけどね。

 こんな事を繰り返していると、次第に家を出た時点で勝手に体が緊張状態になるようになりました。人によっては怯えているように見えるかもしれませんね。だんだんと人の視線に神経質になり、『私の一挙手一投足が誰かに見られている』と感じてしまうのです。自動販売機で飲み物を買う時や電車で定期券を見せる時、コンビニで商品を買う時など、少しずつ緊張する場面が増えていきます。実際、私が今話している間も頭の中は真っ白です。緊張してますからね。

 少々、話が長くなりましたが、こんな自分に不安になった私は父に相談しました。すると父は先ほど言ったように、”もっと前を向いて生きろ”と言いました。普段から無口な父でしたが、言葉が足りず。当時の私には言葉の意味が分かりませんでした。

 そんな、父の言葉の意味について考えていた時、テレビに映るお笑い芸人が目に入りました。

 皆さんはお笑い芸人と聞いて、誰を思い浮かべますか?

 これについては年代によって大きく変わると思います。お笑い芸人それぞれの芸風うに違いもありますからね。ただ、ここで注目して欲しいことは、お笑い芸人全員がとステージに上がっている事です。聞いている皆さんは、『ステージに上がるくらい簡単だろ』と思った人もいると思います。それでも、私からすると凄いことだと感じたんですよね。特に凄いと感じたのは、ナルシストキャラ?でやっている人達ですよね!

 唯でさえ、人目を集めるステージの上で、堂々と自分の事を自慢する。自分に自信が無いと出来ないことです。

 皆さんが知っているナルシストキャラを頭に思い浮かべてみてください。次にその人以外の観客などを消してみましょう。すると、ステージ上でポツンと立っている状態になると思います。その状態で、頭の中のナルシストキャラに芸を披露して貰いましょう。遠目から見ると、痛い人に見えるかもしれませんね。一人で自分の事を自慢しているのですから。それでもステージ上の人は自信満々に芸を披露します。はっきり言って、とんでもない精神力ですよね。

 皆さんはこれと同じことが出来ますか?

 お客さんが見ている中で、”俺はイケメンだから!””私は美少女ですよ!”や”君の笑顔を見る為に、僕は今日ここに舞い降りたのさ!”などを大きな声で言えますか?私には無理です。たとえ、このネタが受けたとしても、裏では何を言われるか分から無いので、怖すぎますね。

 そんなネタをナルシストキャラの人は、何回、何十回、何百回と繰り返すんです。正気じゃありませんよね。何回も同じことを言って受けるのであれば、その人は天才以上でしょう。

 長々とお笑い芸人の話を取り上げるのも大変なので、そろそろ本題に入りましょうか。

 今まで話してきた『思い込みが激しい』と『ナルシストキャラ』。私はテレビに映るお笑い芸人を見た時、ここに大きな繋がりがあると考えました。

 よく『お前は思い込みが激し過ぎる』と言われたり、聞いたりしたことがあると思います。これはマイナス面の話ですね。ただ、これをナルシストキャラの視点で考えると、例えば、『俺にめちゃくちゃ注目してないか?もしかして、何か良いことでもやっちゃったかな?』とか、『なんかめちゃくちゃ見られるな、もしかして、俺って結構カッコイイ?』などなど、100%ポジティブな考えになります。まぁ、結構振り切った場合ですけどね。それでも、プラス面には持ってこれるでしょう。自己暗示のような物です。

 これの重要な部分は、自分を自分自身で追い込まなくて済むことです。要は何も考えるなって話なんです。

 『思い込みが激しい』。よく、これの解決方として”余計なことを考えるな”と言われますが、はっきり言って無理だと私は考えます。そもそも、余計なことって、どの部分の事かもわかりませんしね。そこで、考え過ぎてしまうと言う特性を利用し、先程のように『良い方向で自分が見られている』と意識を変えれば良いと私は考えました。簡単ではありませんけどね。

 この意識改革で重要なのは、『自分に自信を持てるように、身の周りを変えること』と『意識改革後も変化を続けること』です。

 一つ目の『自分に自信を持てるように、身の回りをかえること』は、例えば、髪型を変えてみたり、髪を染めてみたりする事が大切です。服装や体型の変化も勿論良いですが、基本的に人と話す場合は顔を見ることになります。なので、顔の周りに変化を付けると、『俺の髪型イケてるんじゃないか?』や『この髪色、似合ってるでしょ?』と強く考えることが出来ます。これは、思い込みをさらに激しくする為には大切ですね。

 二つ目の『意識改革後も変化を続けてこと』に関しては、この髪形や服装で自信が付いたと考えて、その時点で辞めてしまうと、すこしずつ自分に対しての自信が薄れてしまう場合もあります。特に、年を重ねるにつれて、その自身も一緒に老いていくと考えても良いでしょう。その為、自分が自信を持っていられる状態を保ち続けることが大切なのです。誰でも若く、かっこいい、綺麗な状態で居たいでしょう?

 席の前側の方達の疲れが見えてきたので、そろそろ終わりにしましょうか。


今回、私が話したかったのは”『思い込みが激しい』ってことは、それほど悪い事ではないんだよ?”ってことなんですね。」








 「って言う夢を昨日見たから、俺、本を書こうと思うんだけど、どう思う?」

 「話、長いわ⁉どうもありがとうございました。」

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