第19話 相談
放課後、私と咲枝と水元先輩とで上履きを買いに来て、付き合ってもらったお礼と相談するためにカフェに来ていた。
「にしても、とうとうやられたかー…」
「水元先輩は分かってたんですか?」
「分かってたというか…焚翔もアイツには困ってるんだよ」
「あいつ?」
「…同じクラスの"一ノ宮 陽(いちのみや はる)"」
「一ノ宮先輩?」
「あいつは焚翔のファンクラブの会長なんだとさ。で、自分が一番焚翔に好かれてるって思ってるんだよ。」
「でもこの前、教室に来て詩に"焚翔は私のなの。優しくされたからって調子に乗るな"って言ってきてましたよ?」
「は!?そんなこと言ってんの!?」
「はい。宣戦布告されました」
「逆に嫌われてんのによくそんなこと…って詩ちゃん冷静だね」
「そうですか?結構モヤモヤしてますよ?」
「ははっ。詩ちゃんは強いな」
「そんなことないです!ただ、先輩のこと好き…だから。取られたくないだけで…」
「まぁこれくらいでめげてたら、焚翔の彼女としてはやっていけないと思うし。」
「そうなんですか?」
「うん。焚翔、あんなクールな印象だけどさ、顔は良いし優しい男だからモテるんだよ。」
「まぁ、それはわかりますっ」
「詩ちゃんくらいの子ならお似合いだと思うね!」
水元先輩はそう言ってニコニコしながらケーキを頬張っていた。
「本当、水元先輩って幸せそうに食べますね」
「らって、しあふぁせらもん!」
「食べながら喋らないでください!何言ってるのか分かりませんっ」
「んうっ…ごめんごめん!」
「…何やってんだ、蒼也」
後ろから低めの声が聞こえたと思って声のする方を向くとそこには…
「おー!焚翔じゃん!」
「まさか後輩に奢らせてるんじゃねぇよな?」
「違うって!」
「そ、そうなんです!ちょと買い物に付き合ってもらってそのお礼に。」
「そうか…でも、蒼也。自分で払えよ」
「えー!?」
「あのっ今日は私が…」
「こいつまだまだ食うぞ?」
「え!?」
「おい、焚翔!」
「自分で払え」
八神先輩にそう凄まれて大人しく"はい"といって落ち込んでいた。
そのあと4人で少し話をしてから帰ることになり、私は八神先輩と2人になった。
「なんで蒼也を買い物に誘ったんだよ」
「ちょっと相談したいこともあって、誘ったんですよ」
「ふーん…なんで、俺じゃねぇの?」
「え!?」
「俺だって、お前と…」
「ん?なんですか?」
「いや、別に…それより土曜日、楽しみにしてるから遅刻すんなよ。」
「しませんよ!先輩こそ遅刻しないでくださいね!」
そんな会話をして家まで送り届けてくれた先輩と別れた。
.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます