さいしゅうわ

勇者「やった! 魔王をやっつけたぞ!」

賢者「邪竜のあとだと、魔王が弱く感じてしまった……」

戦士「モツば抜いて、えのころンすっばい」

僧侶「神ィィィィィィイイイイイイイ!!」


勇者「ねえねえ、賢者。魔王やっつけたんだからおこづかい増やしてよ?」

賢者「お小遣い? いえ、もうこの旅はおしまいです。私が資金を管理する必要もないでしょう。王都に戻ったら、みんなに平等に分けますよ」

勇者「じゃあ、先に木刀買っていい?」

賢者「ダメです!」


勇者「そっかあ……王都に帰ったらおわかれなんだ」

賢者「ええ、魔王討伐までのパーティですからね」

勇者「帰りたくないな」

賢者「え?」

勇者「賢者と旅するの、楽しかったから」

賢者「え?」

勇者「こんなこと言ったら困るよね、ごめん。それから、いままでありがと」


邪竜と魔王を倒したレベルアップにより、勇者のINTは02になっていた!


賢者「……私だって、楽しかったですよ」

勇者「え?」

賢者「……小賢しく考えすぎる私を、勇者は引っ張ってくれました」

勇者「めいわくじゃなかったの?」

賢者「迷惑は、半分ですかね」

勇者「なんだよ、半分って!」


賢者と勇者は、からからと笑った。


――王国の文献には勇者たちが帰還した記録はない。

――しかし、たしかに魔王は討伐され、世界に平和がもたらされた。

――入れ替わるかのように各地で活躍する冒険者の一団の記録があるが、これを行方のわからない勇者一行と重ねるのは、さすがに牽強付会けんきょうふかいが過ぎるというものだろう。


・・・

・・


賢者「ずいぶんと遠くまで来てしまいました」

勇者「海がきれい! お日様もきらきらしてるよ!」

賢者「太陽の生まれる土地、日の本とはよく言ったものです」


村人「た、旅のお方、どうかお助けを……」

勇者「どうしたの?」

村人「九本の尾を持つ妖狐が、生贄を求めてくるのです……」

勇者「わかった! やっつけよう!」

賢者「ああ、もう、こら! また安請け合いして!」


戦士「モツば抜いて、えのころンすっばい」

僧侶「神ィィィィィィイイイイイイイ!!」

賢者「あああああ!! もう!! やればいいんでしょ、やれば!! 作戦考えますから、ぜぇぇぇっっったいに指示どおりにしてもらいますからね!!」




おしまい

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