建武3年(1335年)
第41話 足利尊氏の離反
さて、中先代の乱の解決のために鎌倉に入って旧幕府軍を打ち破ることに功績の有ったた武士たちに、足利尊氏がかってに恩賞を与えたことに朝廷の貴族たちは激怒した。
それに加えて吹き上がる武士や公家、商人達の批判、重臣である万里小路藤房の出奔などトラブルばかりが起こっていたが、尊氏の有能な家臣が抜けた記録所や雑訴決断所は機能しておらす、それに対処できる能力はすでに建武政権にはなかった。
さらに、護良親王は吉野で僧としての生活を送らせて、皇太子争いに参加せたくない阿野廉子の思惑もあり建武政権としては尊氏に対抗できる武力の中心となる人物が必要だった。
そして白羽の矢が立てられたのが新田義貞だ。
義貞としても足利家は本来であれば新田の分家であるはずなのに、家臣として扱われ、鎌倉攻略の時に細川に追い出され、中先代の乱では新田系列の一門がかなり尊氏についていってしまい、しまいには新田家の所領まで勝手に恩賞として分配されているということで怒り心頭。
当然建武政権としても言うことを全く聞かない尊氏の行動は目に余るものであって、臣下である尊氏がこれ以上勝手な行動をして事実上第二の鎌倉幕府となってしまえば、すでに非難轟々の建武政権に明日はないと、せっかく10数年かけて幕府をつぶしてやっと握った権力を手放すつもりはない後醍醐天皇は新田義貞の意見を取り入れた。
どうせなら武士同士で潰しあえばいいのだとも考えていただろうな。
足利尊氏は新田義貞を君側の奸であるとして天皇にその討伐を要請するが、京都には足利尊氏の支持派の武士などは鎌倉に来てしまい残っていない状態ではどうにもならなかった。
個人的には後醍醐天皇を裏切るつもりはなかったのに討伐の勅命が出てしまい焦った尊氏はこれは新田義貞の誹謗中傷ですと天皇には伝えたのだが、まあ受け入れられるはずもないわな。
後醍醐天皇は新田義貞及び北畠顕家、
義貞は
義貞はこの軍の大将の中で一番位が低かったため他の軍へ指示命令することはできなかったのだ。
この時の尊氏は鎌倉で恩賞を与えるなど確かに勝手な行動をしていたが、それは京での六波羅攻略直後にも行ったことで尊氏自身には天皇に反抗する気は一切無く、赦免を求めて即座に蟄居した。
仕方なく直義や高師直らは出陣するが天皇による錦の御旗を軍陣に掲げた新田義貞は戦勝に戦勝を重ね、一挙に箱根の険に陣を進めた。
新田義貞は鎌倉を落とした実績もあり軍を率いる武将としては有能で戦上手だった。
しかし足利直義は勢いだけの北条の残党軍に鎌倉を奪われる程の戦下手で直義に戦上手の新田義貞を撃退するほどの力量はなかった。
新田義貞は三河矢作川、遠江鷺坂、駿河手越川原で迎撃に出た直義軍を打ち破り、伊豆国府を占領し、鎌倉へ着々と軍を進めた。
戦いで負け続けていた直義は箱根で何とか持ち堪えていたものの箱根でも打ち破られては、鎌倉に攻めこまれるのは明らかでなんとかするしかなかった。
直義は尊氏が出陣すれば兵の士気が上がって押し返せると信じていたが、直義の再三の願いも虚しく尊氏は動こうとはしなかった。
こういった尊氏の行動は鎌倉に無理やり引き止めた直義や高師直への批判であった。
しかし建武軍は必ずしも優位な状況とは言えなかった。
新田軍の進行速度が早すぎたのか北畠顕家軍が一向に動く気配がなく、関東にいる足利軍を包囲殲滅するはずが新田軍だけが突出している状態で、まあそうでなくとも建武政権の失策に不満を持つものが多い状況では劣勢になった途端裏切る可能性が高い状況だった。
直義は高師直と相談し、「足利の者が降伏しても、仏門に入っても、許すことなく、一人残らず殺せ」といった内容の綸旨を偽造して尊氏に差し出した。
さすがの尊氏もこれを見て遂に浄光明寺を出てみずから出陣した。
先陣に身をおいた尊氏は新田義貞と直接戦うと負けてしまうと判断し、戦慣れのしていない公卿軍団である洞院実世の東山道軍に目を付け、箱根竹之下で陣取っていた洞院実世の軍を攻めると勢いだけで攻めてきた東山道の公卿軍は尊氏軍の攻撃に潰走した。
箱根方面では義貞軍が直義軍を押し気味に戦局が展開していたが、さらに大友貞載と塩冶高貞が尊氏軍に寝返ったため、義貞は、箱根口の戦いでは大勝しながらも、退路を断たれるおそれが出たため軍を撤退させた。
これを見て近江守護の佐々木道誉も尊氏軍に寝返り義貞軍も総崩れとなった。
伊豆国府を尊氏軍が奪回、三河の防衛線も破れ義貞は京まで後退せざるを得なかった。
こうして足利尊氏が新田義貞や弟の直良の策によって建武政権から離反することで、事実上建武政権は崩壊したも同然になった。
この時俺が何をやっていたかというと、今まで通り河内の開拓や交易、兵の調練などに精を出していただけだな。
俺や赤松円心ら
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