第7話

 北上きたがみ先輩が部屋に来てから1週間が経った。

 あの時は、本当にいろいろと終わったと思ったが、北上先輩の優しさでどうにか事なきを得た。

 さて、面倒な事態を引き起こしてくれた幼女幽霊、優奈ゆうなはというと。

潤一じゅんいち、スタンプどっかいっちゃったー」

 何故か、北上先輩と密に連絡を取り合う中になっていた。

 当然ながら優奈は、スマホなど持っていない。なので、俺のスマホを貸しているのだが、最近は夜になると頻繫に北上先輩とメッセージアプリでやり取りをしている。

 何を話しているのかは、分からない。履歴を見てもいいか聞いてみたのだが、「乙女の秘密だよー」と拒否されてしまった。

 マジで何話してるんだろう。俺の悪口……?

 とりあえずメッセージのやり取りで使うスタンプの行方不明事件(発生回数n回目)を解決しながら、夕食の支度をする。

 今日は、麻婆豆腐にするか。安売りしてた麻婆豆腐の素の賞味期限が近いし。

 しかしながら、優奈が現れてから食費とかもろもろの費用が、確実に増している。人1人が増えているので、仕方ないのだが、貯金ができなくなるなぁ。貯金しているのは、ただ単に遊ぶ金を貯めるだけじゃなく、就活用の費用を貯める目的でもあるのだが。

 まぁ、なるべく安いスーパーにいくしかないか。歩いて10分のスーパーは、少し高めだが、自転車で15分かかるスーパーは業務用の製品も置いてあるので、そこに通うことにしよう。

 考えことをしながら、料理を完成させた。

 俺は、意外とマルチタスクもいける人間なのだ。

「優奈、飯できたぞー」

「はーい!」

 コタツに向かい合わせに座り、手を合わせる。

「「いただきます」」

 ニコニコしながら、優奈は、飯を食べている。……俺、シングルファーザーみたいだな本当に。

 ちょっと凹むが、ふと疑問が生じた。

「なぁ、優奈」

「なに?」

「お前、幽霊だけど、飯って必要なのか?」

 今更ながら、思った。

 幽霊は、食事する必要があるのだろうか?

 栄養などを気にする必要はないと思うから、食事そのものがいらない気もするのだが……。

「いるよー。潤一だって、お墓にお供え物するでしょ? あれ、ちゃんと食べてるんだよ」

「そうなのか? でもあれ、直接的に減ってないぞ?」

「いろいろあるんだよ。多分、説明してもわかんないと思う。幽霊力学についてのお話になるから」

 なんか胡散臭い学問だ。まぁ、とりあえず食事は必要ってことか。

「時に潤一。ごそーだんがあるのですが……」

「野菜炒めのピーマン残すなよ。玉ねぎもな」

 予めくぎを刺しておく。

 幼女幽霊、優奈の特性その3。

 好き嫌いが多い。

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