第4話

季節は、秋。と言っても、まだまだ残暑は厳しい。いつからこの国の秋は、夏の余韻よいんをこんなにも残すようになったのだろう。

 買い出しを終えて、自宅に帰る。

「お、おかえりなさい……うう……」

 なんか死にそうになりながら、出迎える幽霊がいた。いや、幽霊だから死んでるんだけど。

「……どうした、優奈ゆうな

 また何かの遊びかと思い、あきれつつ部屋に入ると異変に気付く。

 なんか、暑い……?

 嫌な予感がして、急いで部屋に入り、エアコンのリモコンを操作する。

「あれ?」

 俺の予想に反して、エアコンは普通に作動する。エアコンが壊れて、暑くなっているものだとばかり思ったのだが……。

 よくよく見てみると、エアコンは暖房になっていた。

 こいつ……、操作を間違えたな?

「なんで暖房入れたんだ?」

 一応、聞いてみる。

「いや、使い方がよく分からなくて、いろいろいじってたら戻んなくなって……」

 幼女幽霊、優奈の特性その1。

 機械音痴。

 優奈がゲームをする時は、俺が設定してやるし、レコーダーで番組の録画予約も俺の担当だ。

 もしかしたら、優奈はずっと昔に死んでしまい、機械に慣れていない……、と思ったこともあるがそうでもないようだ。

 今どきのお菓子とか結構知っている。カヌレが食べたいと言われたこともあるくらいだから、現代っ子だとは思うのだが。

 俺は、エアコンを冷房に戻す。なんか優奈が、それだけで拍手してくる。

 こいつ、本当に現代に生きているんだろうか?

 いや、幽霊だから死んでいるんだけど。

 って、そんなことは置いておいて、優奈に渡すものがあるんだった。

「ほれ、言ってたやつ買ってきたぞ」

「やったー!」

 優奈は、大喜びで品物を受け取る。

 品物……、それは戦隊もののシールが入ったお菓子だった。

 幼女幽霊、優奈の特性その2。

 特撮好き。

 それは、奇しくも俺と同じ趣味だった。

「みてみて、レアシール!」

「お、マジじゃん。いいの引くな」

 ……まわりに同じ特撮好きいなかったので、思いがけず趣味の友人ができて、少し嬉しかったりする。

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