第2話

 俺のような貧乏学生にとっては、昨今の猛暑はなかなかつらいものがある。冷房代がかかって仕方ないのだ。初夏の頃は、何とか扇風機と窓を開けることで乗り切っていた。だが、さすがに猛暑日が何度も訪れると限界が来る。

 そうして、現代の利器であるクーラーに結局はお世話になるのだ。まぁ、熱中症になって治療費でさらに自分の首をめることになるよりマシだろう。

 さて、今しがた俺はクーラーが効いた部屋の中で、のんびりと漫画を読んでいる。実に平和で充実した時間だ。

「いい作戦を思いつきました」

 だが、不本意ながら出来た居候いそうろうの幼女幽霊は、そんな平和をぶち壊してくるようだ。

「……そっか、良かったな」

 何もしてこないよう、適当にあしらってみる。

「興味持ってよ! この作戦が成功すれば、貴方も震え上がるのに!」

 ……じゃあ、その作戦を俺に聞かせるのは間違いなのでは?

 だが、ここで無視して家具とか壊されたら最悪だ。特にクーラーは、絶対に死守しなければ。

 しぶしぶ、幼女幽霊の方に顔を向けると、キラキラした顔で幼女幽霊は話し出した。

「今までは、この見た目で損をしていたんだよ! だから、成長した姿でおどかせば貴方でも倒れちゃうよ!」

「え、もしかして年齢操作とかできるの?」

「もちろん! さあ、驚け! これが成長した私だー!」

 幼女幽霊は、一度宙に浮くとクルリと体を回す。すると、一瞬にして背丈が大きくなった!

 なったけど……?

「えっと……、聞きたいんだけど、何歳から何歳に変身したんだ?」

「5歳から7歳! 幼稚園児から小学生にクラスチェンジだよ!」

 ……ダメだこりゃ。

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