幽霊が出た!

きと

第1話

 最近、自分の家に幽霊ゆうれいが出る。

 不動産屋の人から、事故物件であることは聞いていたが、実際に目撃すると衝撃しょうげき的なものだった。

 だが、不思議と恐怖心はわいてこなかった。

 なぜなら……。

「ガオーン!」

 出てきた幽霊は、明らかに小学生以下の幼女だったからだ。

「……何してん」

「ふふ、言葉が出てこないほどおどろいたんだ! これはもう、完全に私の勝ち――」

「いや、死ぬほど怖くなくて、あきれてただけ」

 そう言うと、目の前の幼女幽霊は、漫画の世界のようにガビーンって顔をした。そんなんだから怖くないんだぞ。

「そんな……。いつもの格好から怖いオオカミの衣装に着替えたっていうのに……」

「お前みたいなのがオオカミの着ぐるみ着ても、ハロウィンパーティーにしか見えないぞ」

 この幽霊は、事あるごとに俺を怖がらせようとしてくる。初めて俺の前に姿を現した時は、ピンク色のワンピースに麦わら帽子という怖がらせる気があるのか分からないほど、明るい格好で現れた。しかも昼に。

 その初対面の時に俺が全く怖がらなかったので、むきになって何度も怖がらせようとしているようだ。

 だが、

「驚かせるのは、また作戦を考えるとして……。買ってきてくれた、例の物!」

「はいはい、買ってきたぞ。季節限定ハンバーガー」

「ひゃっほーう!」

 ……こいつ、本当に幽霊で俺を怖がらせようとしてるんだよな?

 俺と奇妙な幼女幽霊の同居生活は、まだまだ続きそうだ。

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