第55話 男の戦い(別の意味で)
男には戦わなければならない時がある!
カッコよく心で決め台詞のようにいってみたが、現在の新の状況は非常によろしくなかった。
深夜2時、寝静まっていた新の寝室に一人の侵入者が来た。
毎度おなじみミアである。
毎度の事ではあるし、人間葬送積み上げてきた癖や日常習慣というのはなかなか直そうと思っていたとしても直すのはなかなかに難しい。
ミアもその例にもれなかったのか、絵里奈が去ってから1週間、すでに前と同じように新の寝室に潜り込んできていた。
彼女の昔からの寝る時の習慣なのだろう、何も身に付けない生まれたままの姿で新の背中にぴったりと寄り添っていた。
新はここ数日穏やかな就寝ができており、忙しさも相まってすっかりこの件を頭の外へと追い出してしまっていた。
「マズイ・・・」
そして、何が不味いのかと言えば、ここ数日、絵里奈が居たり、問題が起きたりだったため、新自身のケアができていなかったことだ。
男性ならばわかるのだが、定期的にケアを怠ると夢精という厄介な現象が起きるだけでなく、体にも良くないらしく、健康状態や、子孫を残そうとした時にうまくいかないなどの色々な問題を引き起こす可能性があるのだ。
女性でいうところの整理が、男性でいうところのケアに当たるので、女性がたまに一人でしてる男なんてだとか、色々と男性の行為に対して理解が乏しい事を疑問に思う時もある。
確かに、それを正当化したり、それを理由にして男性が女性にという話もよく聞くので一概に女性側に理解がないとも言い切れず、女性側がそういう反応を示すのは、男性が歴史の中で女性側にしてきたことの積み重ねが、今の理解の無さを生んだともいえる。
まぁぶっちゃけ男性側の自業自得である。
「とはいえ・・・まず・・・い」
「うぅ~ん」
たまっていたためか、ミアの甘い香りと髪の毛のシャンプーの香りが入り混じった色香全開のこの空間で、限界寸前の男が耐えるにはあまりにも酷というものだった。
拷問と言って良い。
さらに、ミアは全裸であるだけでなく、新の背中に普段シスター服で隠れてはいるが、綺麗な二つの柔らかな暖色のあるそれが、新の寝間着越しに体温とともに伝わってくるだけでなく、そこにある固い2つの何かが、より一層地獄の入口へと新を引き込んで行っていた。
「どうすれば、どうすれば」
すでに息子は元気100倍であり、逃げるすべはココから脱出しかなかった。
意を決し、動いて今まさに出よう、出れる、そう思ったのが良くなかったのだろうか。
「みぁん!」
「は?!うわぁっ・・・・マジですか最悪だ・・・」
新の胸に飛び込んだミアは腕を背中に思いっきり回し、がっちりと掴んで離さなかった。
出られると思った瞬間、彼女は何か鬼ごっこでもしていたのだろうか、思いっきり新の腰に腕を回して抱き着いてきたので、身動きが取れなくなった。
「そうかぁ・・・・」
こうして彼の長い地獄が幕を開けたのだった。
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