第29話 1話小さな来訪者(服って大切・・・・)

「我慢は良くないとは言いましたがね、なぜそうなる?!」

「私を慰めてくれるんですよね」

 夕食には絵里奈は戻ってきて、皆で食事をし、談笑してさぁお風呂だとなって無事に全てが終り後は寝るだけだとなった時だった。

 珍しく寝間着で登場したミアが新に抱き着きながらそう言ったのだ。

「お姉ちゃんずるい~、絵里奈も!」

「じゃぁ、二人でぎゅーしようか!」

 新の言葉など聞いてないのか、絵里奈と一緒にミアは新たに抱き着いてきた。

 新はと言えば、始めて見るミアの寝間着姿に魅力を感じ、胸が高鳴っているのを必死で隠していた。

 普通ならば裸体で興奮するのだろうが、どういうわけか寝間着を着ているミアが妙に色っぽくまた清楚な感じがして、たまらなく情欲を掻き立てられる。

 寝間着は、とても乙女チックなワンピース型で、手首の部分と、スカートの部分に可愛らしくフリルがついており、非常に落ち着いた雰囲気がある。

 またデザインの都合なのかパーカーも付いており、パーカー部分をかぶると何故かねこの耳がぴょんと生えてくる。

 少し子供っぽさがあるデザインではあるが、ミアの雰囲気によく合っていて似合っていた。

「お兄ちゃん顔真っ赤です!」

 35歳にもなってこんな子供っぽいデザインに妙に心奪われるなんて、等と内心で想いながらもどうしても目が離せない。

 新の視線に流石に少し恥ずかしさを感じてきたのか、ミアが新の胸をポコポコ掌を握り拳を作って殴ってきた。

「痛いんだが?」

「し、知らないです」

 特に傷みは無いのだが、気恥ずかしさの痛みがあるので新がそう言うと、少し不貞腐れた様にミアが返してきた。

「お姉ちゃんとお兄ちゃんイチャイチャ?」

 絵里奈にそう言われ、二人は慌てて互いの身を離した。

「で、な、何をしに来た?」

 気を取り直し、ミアが新の部屋を訪ねた理由を聞く。

「一緒に3人で寝よ!」

 新の問い掛けに答えたのは絵里奈で、枕をギュッと抱きしめ上目遣いで聞いてくる。

 その表情があまりに可愛らしく、すぐに陥落しそうになる心をグッとこらえ、問題がある部分へと視線を向ける。

「寝ましょ?」

「ちょっとは恥ずかしいとかないですか? あと貞操観念どうなってんの?」

 新も男である、こう毎晩のように見目麗しい女性と夜を共にして、我慢できるのかと言われると正直辛いだろう。

 しかし、ここ2日ほどは絵里奈が居る事により間違いは起きていない。

 起きていないからよいという話ではなく、物事には限度というものが存在する話だよなぁと、新は思っていた。

「新さん・・・・」

 ミアが新の服の裾を引っ張り、真剣な眼差しで新を見据える。

 ミアが言いたい事は何となくわかっている、絵里奈に残された時間はさほどない。

 限られた時間で、ミアは彼女に幸せな気持ちを少しでも味わってもらいたいのだろう。

 新はため息を一つこぼしたあと。

「分かった・・・・」

「やった」

「何でミアが喜んでるんだよ!」

 新の突っ込みに、そんな事なんだっていいじゃないですか! と言って抱き着いてきたミアに新はドキッとしながら、ミアに気が付かれてないか内心ひやひやしながら適当にごまかしたのだった。

 

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