第15話 裸族再び・・・・

「良いかよく聞け、ってか服を着ろ!」

「ふぁ~、にへへへへ」

 フニャフニャにとろけた様な表情をしたまま、シーツ一枚で一応隠すところは隠しているミアだが、健全な男性としては意識するなというほうが無理である。

 新は理性を極限まで押し殺し、紳士的な思考で心の叫びを必死に言葉にしていた。

「えへへじゃない。なんで俺のベッドに居るんだ?」

 寝起きという事もあり、あまり強く言いすぎるのも良くないと思った新は、少し呆れながらも疑問を投げかける。

「えっとぉ、おトイレに起きたとは思うのです・・・で暖かったのでつい」

「ついじゃねぇよ。しかも全裸で徘徊するなよ!」

 もはやどこから突っ込むのが正解のなのか分からず、片っ端から問題点を上げていた。

 そもそも、二十歳少し過ぎだろうかの女性と一つ屋根の下というだけでも、三十路を過ぎた女っ気のない男にとっては色々変に期待してしまいかねない状況だというのに、それが全裸で夜中寝床に忍び込んでくるとなれば、もはや合意のうえなのでは? などと勘違いしえ閉まっても誰も責めはしないだろう。

 だが、新の倫理観的にそれはけっしてない・・・・絶対だと言えないのが男である。

 ともかくよろしくない。

 そう思うとどうしても言わざるおえなかった。

「う~ん、とても暖かかったですよ」

「伸びをするな、おいおいシーツがはだける!」

「あ、これはどうもご丁寧に、ありがとうございます」

 両腕を天井に向けて伸ばし、大きく伸びをするものだからシーツがはだけそうになる。

 それを甲斐甲斐しく、新が慌てて胸元からずり落ちそうになっているシーツを肩付近まで持ち上げる。

「ほら、良いから出てい・・・・頼むからシーツごと持っていけ!」

「えぇ、そしたら新さんの部屋にシーツが無くなっちゃうじゃないですかぁ」

「裸になるな。良いからそのまま行け」

 新は必死にミアの素肌を見ないようにしながら、そのまま部屋から追い出したのだった。

 今日もまたミアの裸体に誘惑されながらの早朝の出来事である。



「おはようございます、朝ごはんですよ」

 教会横の居住区にある食卓場。

 すっかり目が覚めたミアが、食卓に朝食を並べていた。

 今朝はサンドイッチが2切れに、昨晩の晩御飯に出てきたシチューと焼いたバタールが1切れ、そして今日も紅茶のティーカップが置かれていた」

 昨日はバタバタしていたため、朝食を取った記憶こそあるが、何が出てきたのか何が起きたのかさっぱりで、混乱の中だった事もありよく覚えていない。

 こちらですよ、と促す様にミアが新が座る席の椅子を引く。

 新は誘われるままにその席に座ると、シチューの良い香りが鼻を刺激し、胃がきゅーっとなる。

 こうして食事にありつける事にありがたさを噛み締めつつ、今日はいったいどんなお客がペチュニアを訪れるのかと、今から期待と不安で胸がいっぱいになっていた。

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