第13話 こき使われてたのか?!
「神様にも階級があるんですよ。未菜さんの言わば上司的なのが彼女、寿様です」
「うぇ・・・・」
新は上司という言葉に酷い嫌悪感を覚え、思わず声に出してしまった。
慌てて口を手で塞ぎ寿様と言われた神様へと視線を向ける新。
「お主、相当苦労してきたようだな。まぁここにはお前をこき使うのは・・・・居るな」
「居るんかい!? あ・・・・」
新がすかさずツッコミを入れてしまった事に対して寿様は、右手を上げてひらひらとふるのでどうやら気にするなというサインらしく、荒は苦笑する。
むしろその突っ込みが寿様的にはお気に召したのだろうか、先ほどよりも良い笑顔を見せていた。
「こき使うだなんて、誰ですか、新さんをいじめるのは?!」
「いや、お前だけど・・・・」
「え、私?!」
新が呆れたように言うと、ミアは不服というよりは本気で驚いているというような表情で新を見ていた。
「寿様、私そんな事してますか?!」
不安になったのだろう、慌てて寿様と話し始めると、寿さはその細い指先で新を指さした。
「それ、エプロンでしょ?」
「ええ、そうですけど・・・・それが何か?」
「そういえばお前はそういう女子だったな・・・・エプロンつけさせてるのだから手伝わせているのだろう?」
「はい。これ見てください、紅茶の管理リスト作ってもらっちゃいました!」
寿様の指摘に微妙にずれた答えを返すミアに、更に寿様は言葉をつづけた。
「作ってもらった、手伝ってもらった。こき使ってないか?」
「わ、わわ、私はそんなつもりは全然ないのですが・・・・これってこき使っているのですかねぇ?」
流石に不安になったのだろう、寿様に恐る恐るミアが窺う様に尋ねるので、寿様はイエスともノートも取れない微笑だけを彼女に返していた。
すると、助けを求めるかのように新に顔を向けたかと思えば。
「まてまて、当事者に使われてるつかわれてないを聞くんじゃない」
「だってぇ~」
「甘えた声を出さないでくれ。だ、大丈夫使われてないから。勝手に俺がやってるだけだから!」
怯えた小動物の様な表情と声音で新たに問いかけてくるので、新はここ数年女性との関係が皆無だったのもあってか、こういった表情と仕草、声音に非常に弱く、あっさりと自分が勝手に手伝っているのだという事にした。
そんな二人のやり取りをおつまみにでもするかのように、寿様はゆっくりと紅茶を飲みながらケーキをつまむ。
「また腕を上げたなミア。未菜が嬉しそうに帰ってきたわけだ」
「未菜さん、そんなにでした?」
「まぁそうだな。だがアレは今日旦那様が朝から構ってくれたことが相当嬉しいらしく、今日一日ご機嫌だからな」
「あのぉ~、お話し中に大変申し訳ないんだけど、先ほども出てきている旦那様って・・・神様?」
寿様とミアの会話についに耐え切れなくなり、未菜が居た時から気になっていた事を新は聞いた。
「人間だぞただの」
「へ?! いや、旦那様って???」
さらに疑問が増え、新は混乱する。
「嫁入りしたんだ、神に」
「そんな事可能なのか?」
「狐の嫁入りって行事は知らぬか?」
新はそう問われ、何か聞いた事はある気がするが詳しく意味が分かっていないうえに、目の前にいるのは神様なのだから、ここは素直に知らないという事にして聞いたほうが利口なのではないだろうか。
そう思い、寿様に聞いてみる事にしたのだった。
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