第9話 人の頭を除くな?!
なぜこうなったのか良く分からないが、肩身が狭い事だけは分かる。
新は内心で現状について愚痴をこぼしつつ、二人の話に耳を傾けながら、今回だされた紅茶に口を付けた。
「あ、フルーツ」
鼻を抜けていく紅茶の香りが、マンゴーを中心とした柑橘系なのだろうか?の香りが強く、また口当たりもスッキリとしていて、これ一つで南国の気分が味わえるのではないかというような紅茶だった。
「アルファードマンゴーです。紅茶にした茶葉で、これがちゃっぱの出がらしですけど、見てください、実際に固形のマンゴーを使っているのですよ!」
何がそんなに嬉しいのだろうか、声を弾ませながら興奮気味に新たに説明をしながら茶こしに残っている茶葉を見せてくる。
新も気になりそれを覗き込むと、確かに固形のマンゴーらしきものが残っており、さらに茶葉には少し花だろうかの花弁まである、どういう仕組みなのかよくは分からないが、少なくても手が込んだ代物だという事は見ただけで分かった。
「うふふ、二人は仲良しさんですね」
「あの、未菜さんでしたっけ。それは無いです」
「どうしてですか?」
「ぶっちゃけこの人とは初対面で、昨日拾われたんです」
変な勘違いをされても困るし、またミアとしても困るだろうと新は思ったのか、すぐに未菜に否定したのだが。
「まぁ。では、他人でしたのにそんなにすぐに仲良くなられたのですね!」
「え、いやだから別に仲がいいわけでは・・・・」
「素敵です。運命を感じますね!」
「感じるわけないだろ?!」
未菜が自分の胸の前で手を合わせ、にっこりと微笑んだのをすかさず新はツッコミを入れて否定した。
「え、感じてくれないのですか?」
しかしだ、約一名、このやり取りとは別に厄介な反応をした人物が、新たに切なげな声音でそう問いかけてきた。
「ミアさん、ファイトですよ。私は縁結びの神様なので、ここで二人のご縁を結んで・・」
「止めんか!」
新は慌てて未菜を止めにかかる。
別にこのミアという女性が嫌いというわけではない。
とてもバランスの取れたスタイルに、性格もぬけているところはある者の非常に穏やかだ。
欠点はあるだろうが、むしろ性格の良さや穏やかさだけ見てもとても女性として洗礼されていると言って良い。
そこでふと、新の頭に今朝の裸体が脳裏をよぎり、慌てて頭から振り払った。
「あらぁ~。へぇ~。ミアさん大胆」
「え?何のことですか?」
「おま・・・まさか今?!」
新は嫌な予感がし、慌てて未菜を見ると、未菜は大変嬉しそうにニマニマと笑みを浮かべながら、新を見つつ、ミアに手招きをし始めたので、慌ててミアの肩に手を置きその動きを封じた。
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