第3話 見たくない真実。

 ミアいわく、この場所は望んだ人だけが行きつける場所。 

 そう言われても新はなにも思い浮かばなかった。

 会社を追われ、家を失い。

 行きついた先は地図にすら載っていないと言われた場所。

 そう言われ、新自身が半信半疑だったのもあり、教会の外へと出てみる事にした。

「は?」

 教会の外に出ると、青々とした緑、そして教会の横には。

「(喫茶ペチュニア)は? 喫茶店?」

 教会の横にその看板を見つける。

 赤い屋根の大きなお家ではないが、石造りのレトロ感あふれる作りで、西洋風の建築物がそこにあった。

 つづいて、キーという鉄がこすれる音が聞こえ、何やら聞き覚えのあるアナウンスが耳に聞こえてきたので新はそちらに目を向けつつ、いったい何がと思い音のしたほうへと足を向けると。

「なんでライトレールがここにあるの?!」

 そこには、最近開業した宇都宮の新しい乗り物ライトレールがいた。

 黄色の車体と、未来的なフォルムが印象的な作りで、現在世界からも注目が高い乗り物だ。

 出来るまで膿瘍曲折があったらしいものだが、出来てしまえば利用しない手はないらしく、結果本来見込んでいた以上の利用率となっていると最近何かで見た気がする。

 その話題せいがある乗り物が、何故だか目の前にあり、しかも駅まで存在している。

「駅名・・・ポンコツシスター駅・・・ああ、あの人ポンコツなのか」

 失礼だとは思いながらも、新は妙にこの駅名に納得ができてしまった。

 先ほどの、泊める泊めないとか色々なやり取りが頭に浮かび、ポンコツというか天然というか、色々腑に落ちる駅名だった。

「これ、乗ったら帰れるのか?」

「帰れませんよ」

「うぁっ! びっくりしたぁ、いきなり声かけないでもらえないか?!」

「失礼しました。帰りたいんですか?」

「いや、ええとだなぁ・・・・」

「どうぞ」

 そう言われ、何かを手渡されたので反射的にそれを受け取ってしまう。

 手には灰色の紙が握られており、クシャりと音をたてる。

「新聞?」

 見出しは『悪徳企業の一つがついに倒産、容疑者の一人はいまだ逃亡中・・・名前は・・』」

そこで自身の名前が記載されているのを見て、そっと新聞を綴じる。

 気のせいだ、そう、夢に違いない、俺は頭がついにおかしくなったんだ。

 そう思いながらもやはり好奇心には勝てず、そっと綴じたところを開くと見出しが大きく乗っており、そこに容疑者の顔写真がでかでかと載っていた。

「これ、お兄さんですよね? お兄さん凄い人だったんですね。新聞の一面を飾ってます!」

 目を爛々と輝かせながら無邪気な笑みを浮かべるシスターを見ながら。

「俺の人生オワタ・・・・」

 アホみたいなセリフを吐きつつ空を仰ぎ見るのだった。

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