第二話 後編
「……これがこの四つ葉のクローバーの記憶、なんですね」
男性が静かに言うと、店主の女性は履歴書から顔を上げて頷く。
「そのようです。大好きな男の子のために幸運を呼ぶ四つ葉のクローバーを探して、見つかったらすぐに届けに行く女の子の姿。実に微笑ましいですね」
「ですね。でも、その後はどうなったんでしょう。その黒葉君は良くなったのかとか光葉ちゃんと黒葉君の関係は進展したのかとか」
「そこまでは私もわかりません。ですが、見つけた者に幸運を呼ぶという四つ葉のクローバーの祈りがあったわけですから、少なくとも悪い結果にはならなかったと私は思っていますよ」
「……そうですね」
男性が答えた後、店主の女性は履歴書をクリアファイルに戻し、それをそのままカウンターへと置いた。
「履歴書、拝見しました。明日からで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。でも、本当に面接はいらないんですか?」
「大丈夫ですよ。昨日も言いましたが、花達の話を聞く事が出来る方ならば雇いたいと思っていますし、話を聞いている時の姿を見て貴方ならばと思えましたから」
「……わかりました。これからよろしくお願いします、えっと……」
「そういえば、まだ自己紹介をしていませんでしたね。私は
「はい」
暦からの言葉に喜久夫は微笑みながら答え、その二人の姿を花達は静かに見ていた。
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