エイプリルフールに地球は滅亡します。

冲田

エイプリルフールに地球は滅亡します。

「大変だ! 巨大隕石が迫っていて地球が滅亡するぞ!」


 登校中の通学路で、同級生が興奮気味に話しかけてきた。


「……嘘つくなら、もうちょっとマシな嘘ついたら?」

「は? 何言ってんだよ! 嘘じゃないって! 本当だってば!」

「いやいや、今日が何日かくらい、知ってるから」

「だから、4月1日! 地球滅亡の日だ!」

「はいはい。エイプリルフールだろ」

「エイプリルフール?」

「そこもとぼけなくていいって。嘘ついても許される日だろ?」

「嘘をついても良い……。なるほど、それなら……!」

「もうちょっとバレるかバレないか、みたいな微妙な嘘をつくのが面白いんであって、地球が滅亡とか、そういう突拍子ないものは面白くないの」

「じゃあ、地球滅亡は撤回するよ。俺、実は、スーパーマンなんだ。ちょっと、地球の為に働いてくるよ!」


 そう言った彼は「とうっ」という掛け声とともにジャンプし……いや、空を飛んでいった。


「え……? ちょっと仕掛けがガチすぎじゃない? どうやってんの?」



 学校に着くと教室は騒然としていた。


「ねえ、朝のニュース見た⁉︎ 巨大隕石で地球滅亡だって!」

 クラスの女子が言う。


「いやいや嘘でしょ? 本当に滅亡なら、なんで呑気に学校来てるのよ」

「エイプリルフールの悪ノリだと思ったんだもん! こんなわかりやすくフェイクニュースっぽいの、誰も騙されるわけないよ!」


 皆がそれに同調する。テレビなどの媒体の場合は、友達同士とは違って悪ふざけだと明らかにわかるからこそ、エイプリルフールのネタになるのだ。報道機関がやるべきではないが。


「で、これが、嘘じゃないっぽいんだって!」


 誰かが教室のテレビをつけた。どのチャンネルも巨大隕石の接近と地球滅亡を報道していた。大きな流れ星のような火球も、映っている。

 本当に、本当なのかと皆が顔を見合わせたとき、その火球が砕け散った。何が起こったかわからないけれど、地球の危機は去ったらしい。



「な、巨大隕石は本当だったろ?」

 昼休み、遅れて登校してきたアイツが、僕に言った。


「まあ、そうだね……」

「みんなが嘘ついて、何が本当で何が嘘かわからなくなってたから、俺がスーパーマンのコスプレして隕石壊しても、誰も何も疑問に思わなかったみたいだわ! 今日が4月1日でよかった!」

「え? 隕石……こわす……?」

「あっ……! な、なんでもないよ! ともかく、地球滅亡が嘘になってよかったな!」


 結局、お前の何が嘘で、何が本当だったんだ?




END

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エイプリルフールに地球は滅亡します。 冲田 @okida

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