第3話 「神にキモがられるアルティメットニート」(しね!)
*
「君ねぇ何が目的なんだ?」
「ぁれ……え、え?」
あれ、何だここは? なんで俺、光に包まれた中で仙人みたいな老人と喋ってるんだ?
え、神!? 直感だけど、この人神じゃないw?
「女子高生をストーカーしてる途中で交通事故で死ぬって……君の両親は呆れて涙も出ない様子じゃったぞ」
「あ……ぅう、あ……、え!? だ、れですか?」
「ああ、ワシは神様じゃ」
「フォカぬポォwww」
「君ねぇ、なんか古いんだよ」
ラノベを読み荒らしている俺に死角は無かった。
神様は長い顎髭を撫でて俺を見つめる。ていうか呆れているっぽい。
「折角ワシが作ってやった命をこんな風に無駄にしてぇ、もう」
「え、いの、ち……つくった?」
持ち前のコミュ障を抜群に披露しながらに、俺はしょぼしょぼした目で神様を見る。
「そ、全ての生命はワシが作っとるの! というかワシの許可制なの!」
神様は頬を膨らませてバタバタと手足を振っている。
「なんでこんな事したの? 普通見ず知らずの人の為に死ぬかねぇ」
「あ、……ぇえと、」
「あの女子高生は君のおかげで生きとるし、君の与えたトラウマ体験によって心を入れ替えて生きておるけどね……」
あ、生きてるんだあのおみ足JK。それは素直に嬉しい。もう会えないんだろうけど……。
「うーん、何ていうかなぁ。君は人を助ける為に死んだっていうか……人を助ける
流石です神様。図星です。そしてトラックの運転手さん本当にごめんなさいw。
実は俺はあの時トラックを避けられたかもしれない。でも、そうしなかったんだ。
「ワシ、自殺する奴は大嫌いなんだけど、君は一概にもその枠に収まらないっていうか……理由が気になってここに魂を呼び寄せたんじゃ」
やっぱり死んでるんだ俺……なんてしみじみ思いながら、俺は頑張って口から言葉を
「ぁの……い、生き…………辛くて」
それは俺の心から出た本心だった。
あの世界は俺には余りにも生き辛かったんだ。
劣性遺伝で初めから負け組だったし。
どれだけ足搔いても無理ゲーでしょ、不公平だったんだよ俺だけ。
「はぁ……じゃあどういう世界じゃったら生きられるの?」
「え、……え。いやあの……」
「まぁ曲がりなりにも一人の少女の命を救っとるしなぁ……神の慈悲位やるわい。さぁモジモジしとらんでさっさと言え!」
俺はスゥと大きく息を吸い込むと、目一杯の全力で叫んで見せる。
「剣と魔法の! ファンタジー世界!!」
神様は目を丸くすると、つぶらな瞳で俺を見下ろして呟いた。
「え、キモ……」
他人から言われる最後の言葉がそれかよ……
神様は、その年でまだそんな事言ってるの? と言わんばかりにドン引きした目で俺を見つめると、ため息をついてから杖を振るう。
「ああ、あ、あとイケメ……で、幼馴染が……!」
「え、なに? なんじゃって?」
「イケメン……! で、幼馴染が、居て、初めからさいきょ……」
「あぁあぁあぁあぁ、もう分かったから早ういけぇ」
――すると俺は光に包まれて、山田拓郎という姿は意識だけ残して無くなった。
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