第13話 春一番



雨が降り

ひと雨ごとに暖かくなる季節を感じ


強い風が冷たい空気を追い払うと

振り返りもせずに花吹雪で去って行けば

やがて来るであろう蝉時雨


心地よい季節ほど短いものはない


暫くぶりに故郷へ帰れば

変わり行く駅周辺の街並みは

時の流れの儚さを誘い


巡る季節を貴女と見ている優しさは

時の流れの一瞬の戸惑いか



休日の仕事を探していると

お伝えしたことがありました

見つかりそうです。


少しづつ

物語を消していこうかと思っている

と書いたこともありました

お引越しの準備中です。



再生が救いなら

破壊は神の技であると信じ

無くさなければならないものを

両手でしがみ付くように握りしめるより

この思いを捨て去ろうかと


道の途中から

新たな道へ進むには

未だ早すぎて

重い荷物を順番に下ろしていく


鳥は翼があるから飛べる理由ではない

鳥を両手のひらに抱いた人は

その軽さを知るが良い


全てを失いし君へ

その軽さで風に乗るが良い

精一杯に広げた翼が

春の嵐に乗り

何処までも高く飛翔させるであろう


その時まで待てば良い

風に乗れるよう翼を広げて


春に吹く最初の風の真意を知る者よ

時の風に舞い上がれ

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