鶯団子
文重
鶯団子
よっこいしょと茶店の縁台に腰をおろす。70過ぎて幼稚園児の孫のお守りはさすがに堪える。大きなプロジェクトを抱えているとかで最近お疲れぎみの美樹に、
「週末は父さんたちが大輝を動物園に連れていってやるよ」
なんて安請け合いをするものだから。俊雄さんも出張中でいないことだし、美樹にとっては渡りに船だったんだろうけど。
おむすび握って電車で動物園まで。道中もはしゃぎっ放しの大輝は、園内ではさらに大興奮。後を追いかけるのに必死だった。
まだまだ帰りたくなさそうな大輝をなだめすかして、やっと園の外に出たときには、じいじとばあばは疲労困憊。あそこで一休みしていきましょうと入った茶店。大樹はアイスがいいと駄々をこねたけど、ここだけは譲らずに鶯団子を3人前注文する。
「おいしいね」
結局は嬉しそうに団子を頬張る様子に、私たちの目尻も下がる。
「弟か妹が来るんだよ」
唐突な告知に、お父さんと2人笑顔の陰で小さく溜息をついた。
鶯団子 文重 @fumie0107
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます