28 冗
――でも、そうは言っても?
――珍しく寝てみるかな? 別の興味もあるし……。
――ゴムないよ。
――じゃ、食後の腹ごなしに買い物にでも行きますか?
――アレだけ買うのも恥ずかしいわね。
――ならば、別の薬か雑貨でも一緒に買えばいいんだろう? 店員が気にするとは思えないが……。
――昔、ニヤニヤとした視線を曝す厭な店員がいた薬店があったのよ。まあ、お爺さんだったし、わたしの勘違い――自意識過剰?――だったのかもしれないけど……。
――エロ爺さんは、どこにでもいるよ。しかし単にキミの容姿が好みだっただけじゃないの?
――だってガリガリに痩せていた頃の話よ。今とは違って……。
――ぼくはガリガリのキミが好きだったけどね。まあ、性的な好みではなかったけど……。
――で、今でもあなたはガリガリが好きなの?
――基本は変らないと思うよ。でも、触れ幅は大きくなったかな? 今では女性のお尻の方に目が行くな。子供の頃は主として顔で、それからは脚や胸だったけど……。
――ふうん。そうなんだ。
――この先、また好みが変れば面白いが……。
元カレの父親と寝たのは冗談みたいな出来事だ。おそらくそういうこともあるのだろう。魔が差したといえばわかりやすいが、わたしとしては気持ちが重なったと理解したい。だから互いにまったく見知らぬ他人として一夜を過ごす。良くも悪くもないセックスだが、気持ちの中には結構残る。そういうところはきっと、わたしも普通の人間なのだろう。
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