26 久

 ――いや、久しぶり。本当に、お久しぶり……。

 ――いえいえ、こちらこそ、お久しぶりです。お元気でしたか?


 待ち合わせの駅改札近くの柱に凭れかかる元カレの姿がすぐにわかる。変った部分は変ったが、変わらない部分は変らなかったし、ある種独特の雰囲気が以前にも増して濃厚に発散されている。それなのに不思議なことに枯れた感じも醸し出す。まだ四十歳を過ぎたばかりというのに……。

 元カレには昔の級友に『孔子様』と渾名を付けられていた三歳年下の弟がいるが、その雰囲気が僅かに混じって来ていたのかもしれない。

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