2 神

 ――次に通るときにはないのかな?

 ――さあ、でも早く建てないと維持費が大変そう。

 ――案外、まだ売れてないのかも?

 ――それだったら地鎮してないと思うわ。

 ――そうだな。土公神(どくじん)って、どんな顔をしてるんだろうね?

 ――さあ、顔があるのかしら? 石碑しか思いつかない。

 ――神様なんだし、顔くらいあるだろう?

 ――竈(かまど)のような?

 ――それは、わからないな……

 ――神様なんだから、顔は無いのよ。少なくとも、わたしたちにわかるような。


 わたしはあの川で死んだから、そこにいたのはわたしではない。

 わたしではない誰かが、わたしの友――あるいは元カレか?――と話している。

 まるでわたしがその場にいるかのように……。

 まるでわたしがまだ生きているかのように……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る