私の高校生ライフ

はなさき

第1話 四月一日 高校生活の始まり(朝)

 朝の六時に私は目覚まし時計の音で目を覚ました。

「おっ、朝だー」

 中学生の時には絶対に出来なかった寝起きなんて感じさせないテンションで言っていた。

そして私はベッドの上で寝転がりながら腕を頭の上に伸ばして伸びをする。

「んんー、私もついに高校生だー」

今日は待ちに待った高校の入学式。

私は小さいころから高校生という存在に憧れていた。

 その憧れの存在に今日から私はなるんだと思うとなんだか嬉しい気持ちもあるけど不安な気持ちでいっぱいになってしまう。

 でもそんなこと考えてたって仕方ないから私はベッドから上体を起こして不安な気持ちを隠すように喜ぶことにした。

「やったー、私もついにセーラー服デビューできるんだ」

 そう、私が高校生に憧れを持っていた理由は制服のセーラー服が大きい。

 学校によっては中学校でセーラー服の場所があるのは知ってたけどここら辺から通える学校には制服がセーラー服の学校は今日から私が通う高校にしかなかった。

 それにネットでセーラー服の高校を調べて驚いたことがあった。

 私が高校生とセーラー服に憧れを持った当時はまだセーラー服の学校は多かったはずなのに今ではほとんどの学校からセーラー服が消えていてめまいが起きた。ショックだった。

 それほどセーラー服が好きだった。

 それに私はいつしかセーラー服を着るために生まれてきたと言っても過言ではない程にセーラー服マニアなっていた。私服はコンセプトがセーラー服のを好んで着ている。それにセーラー服とつく物にはどんな物でも反応してしまうようになっていた。

 そうして心の中でセーラー服愛を語っていると私の部屋をノックする音が聞こえてきた。

「はーい」

 私が返事をするとママが少しびっくりしながらドアを開けて声をかけてくる。

「あら、恵美梨が起きてる。大丈夫なの?」

「うんっ」

 私が元気よく返事をするとママはまたちょっとびっくりしていた。

 そしてすぐにいつもの表情に戻ってママは私の部屋を後にした。

「しゃあ早く降りて朝ごはん食べちゃいなさい」

「うん、分かったー」

 ママが私の部屋から出ていくのを見て私もあとを追うかたちで部屋から出て一階のリビングに行く。

「あ、パパおはよー」

 ソファーでテレビを観ていたパパに挨拶をする。

「お、おう、なんだ今日は朝からやけに元気だな」

「そりゃそうだよ。だって今日は高校の入学式なんだよ。やっと私もセーラー服着れるんだよ。そんなことを考えたら元気になっちゃうよ」

 私が元気よくパパに言うと

「そうかぁ、恵美梨ももうそんな年頃なんだなぁ。あんなちっちゃかった恵美梨が」

 そう言いながらパパは昔の私を思い出しているようだった。

 中学生の時にはパパとママには心配をかけてしまったからこうやって朝から元気な私を見せられて嬉しくなってしまう。

「そうだよパパ。私はこんなに成長しちゃったんだよ」

 にひひ、と笑顔でパパにピースをしてみると泣き出してしまった。

「あぁもう、朝からなに泣いてるんですか。嬉しいのはわかりますけどそんなに泣かないでください」

 ママが台所から来て少し呆れたようにけどなにか共感している感じでパパの横に座って背中をさすっている。

「恵美梨は早くご飯を食べちゃいなさい」

 ママがパパの背中をさすりながら私に言う。

「うん」

 私はそう返事をして台所の前のにある椅子に座って朝ごはんを食べ始める。

 今日の朝ごはんは食パン二枚と目玉焼きだった。

 私はパンをトースターで焼いてその上に目玉焼きを乗せる。

 食パンの上に目玉焼きを乗せて半分に折って真ん中の耳がないところから齧った。

 すると挟んでる目玉焼きが押しつぶされて黄身のところから黄色いのが出てきてもう一枚の食パンの上に落ちた。

「美味しいー」

 黄身が垂れてるのなんて気にしないで声に出して言う。

 私はこんな感じで朝ごはんを食べるのは久々でなんか新鮮な気持ちになった。

 でもそんな感じで考えていたらなんかボーっとしてきた。

「あー、恵美梨、垂れてる垂れてる」

 突然ママのそんな声がして私はハッとした。

 意識が少し遠くに行っているような感覚になっていた。

「あっ、パジャマに黄身がついちゃった」

 眠たい時に出る弱々しい声でそう言いながら私は机の上にあるティッシュで黄身が垂れてしまった太ももの辺りを拭く。

「恵美梨大丈夫? やっぱりまだ治ってないの?」

「う、ううん。そんなことないよ。もう治ったよ。それにやっとセーラー服を着れるんだよ。もう中学校の時みたく学校を午後から行くなんてしたくないんだ」

 私はパパとママをこれ以上心配させたくない。

だから私は高校からは元気に振る舞うことに決めていた。それに今日の朝は本当に久しぶりにスッキリ起きれて治ったと思っていた。

「恵美梨、無理しなくていいんだからね」

「無理なんかしてないよ。本当に大丈夫!」

 私はママに無理矢理出した元気な声でそう答える。

「そうね、分かったわ。でも恵美梨これだけは約束して、無理だと思ったら保健室で休むって」

 心配の声でそう言われて私は

「うん、分かった。ちゃんと休むね」

 そう答えるしかなかった。

 本音を言うと高校でも保健室に行くのは嫌だ。

 私は普通に教室でみんなと勉強をして休み時間はお喋りをしたい。

 だから私は例え体調が悪くなっても保健室には行きたくない。

 中学校の時みたく保健室で勉強はやりたくない。

「それとどうしても朝体調が悪い時はちゃんとママに言って、学校に連絡してどうするか決めるから」

 過保護なほどに念押しをしてくる。

「うん……ちゃんと、言う、よ」

 また私は弱々しい声になっていた。

 眠たいしなんか頭が痛くなってきてしまった。

 これはママの言葉に頭が痛くなったんじゃなくて私の病気の症状の一つだった。

「本当に大丈夫なの? ママ心配よ」

「う……ん、だい、じょう、ぶ、だよ」

「おーい、恵美梨大丈夫か? まだ治ってないかも知れないし眠いならベッドで寝ててもいいんだからな」

 パパの声がどこか遠くから聞こえてくる。

 そこで私は突然夢から現実に戻されたような感覚になった。そしてまた眠くなってというのを繰り返す。

 やっぱりまだ治ってないのかな? ううん、そんなことない。もう治ったよ。だからこの眠気は寝不足なだけだから学校に行ったら眠気なんて飛んでいくはず。

 そんなことを考えて私はパパに無理矢理の元気で言う。

「うん、ありがとうパパ。でも寝不足なだけだから心配しないで」

「そうか? まあ、それならいいんだけど。なら早く朝ごはん食べて制服に着替えてきな」

 そう言ってパパは手に持っていたマグカップを台所の流しに置きに行った。

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